俺のベッドに座った姉ちゃんを前に、俺は考えを巡らせる。
姉ちゃんはきっと反対しない。
だって、まーくんが泊まりに来てイチャイチャしちゃうと、やっぱり何かしら音(声?)がするわけで、姉ちゃんはなんだかんだと母さんにバレないように気をつかってくれてたんだ。いや、ホントに申し訳ない。
それで「ほどほどにしなさいよねっ」と、さすがにぶーたれてたから、面倒が減るのは大歓迎だと思うんだよね。
「なによ?」
「あ、えっと…」
「雅紀くんとなんかあった?」
鋭い。なんでわかるんだろう。
姉ちゃんは俺の顔をジロジロ見て、「しかも、結構いい事っぽいのよね」とまで言う。
「なんで……」
「あんたねぇ。普段はそんなことないのに、雅紀くんの事になると、ほんっと、顔に出てんだってばっ!」
………マジか。
俺は思わず両手でほっぺたを押さえた。
「で?なんなの」
俺は覚悟を決めて姉ちゃんに話した。
まーくんのおばあちゃんのアパートの事、一人暮らしのこと、そしてその部屋に誘われている事。
「同棲したいと思っててさ」
「同棲!?」
「母さんになんて言おうか迷ってんの」
姉ちゃんはポカンと俺を見ている。
あぁ、さっき俺はまーくんの前でこんな顔してたんだな。
そんなこと考えていたら、姉ちゃんがアハハと笑い出した。え?笑うとこ?ひどくない?
俺の表情に気がついたのか、姉ちゃんは「ごめんごめん」と俺の頭をぽんぽんした。こういうところ、ちょっとまーくんに似てるよな。でも、なんでかな、姉ちゃんにされると子ども扱いされたみたいで嬉しくない。
「同棲とか言うから驚いちゃった」
「だって一緒に住むんだよ、同棲じゃん」
「まぁ、あんた達からしたらそうなんだろうけど…。お母さんに二人の関係まで教えるのでなければ、普通にルームシェアとか言えばいいんじゃないの?」
…………目うろこ。
そっか。言われてみれば確かにそう。
いつの間にか、内側からしか見てなかった。ものの考え方が偏ってたんだな。
「でもね、二人のことを話すかどうかは、ちゃんと考えた方がいいと思うよ」
さっきまで笑っていた姉ちゃんが、急に真面目な顔でそう言った。