「はあ?ばかじゃないの、相葉くんったらヤラしいなあ〜」

なんでだよ!?
ニヤニヤ笑うかずくんに俺は言い返した。

「そういうお年頃なんだから、意識するだろ」
「えぇー、だってまだちょっとしか付き合ってないんだよ。そんなさぁ」
「好きな子といたら、そんなの関係なくない?」
「もー、相葉くんのえっちぃ」

俺はマジメに話してんのに、笑って返されて。
呆れてるのか誤魔化してるのかわからない。でもなんとなく笑ってかわそうとしてるような気もする。
えっちだよ、えっちで悪いか。
ムッとした俺はかずくんの腕を掴んだ。

「ホントに好きならさ」

ベッドのはしっこに座っていたかずくんがバランスを崩して倒れ込む。それを俺が上から見下ろす形になった。
ベッドの上に仰向けで倒れてるかずくん。
白いゆるゆるのTシャツ。さっきまでやっていた風呂掃除のせいか、少し濡れた前髪がおでこで乱れて、なんかエロかった。

「キスくらいしたくなるんじゃないの」

声がかすれた。
俺をじっと見上げるかずくんの瞳が潤んでる。
あっ、ヤバい…。
俺、止まらなくなるかも…。

汗ばんだ俺の手が、かずくんのTシャツの裾に触れる。心臓がバクバクして、頭の奥がジンッ…と痛んだ。

ほら、キスしたくなるじゃん。
これが普通だろ。

俺はゆっくり顔を近づけた。
セミが遠くで鳴いていた。