小学生の弟にしょーもないマウントをとって悦に浸ったアホな俺。その日の午後とんでもない事態に陥るなんて、予想もしていなかった。

熱気のこもる体育館は、設置されているはずの冷房など役に立たず、隅に置かれた巨大な扇風機がごうんごうん回っている。
練習のスキをみては風に当たりに行くが、熱風に煽られて涼しいのかビミョーなところだ。
俺はシュート練習を再開し、夢中でボールを投げていたら、「キャプテン、キャプテン」と一年坊主にビブスを引っぱられた。

「なんか、外でキャプテンのこと呼んでるみたいッスけど」

開け放たれた入口を見れば、学生服姿の風間が必死に手を振り、小声で「相葉ちゃん!」とおいでおいでしている。
風間はかずくんのクラスメイトで、小学生の頃からの遊び仲間。俺も含めてよく一緒に銭湯に行ったりしてるんだ。

「えー風間ぽん?どーしたの」

汗を拭きふき近寄ると、風間は俺の腕をつかんで外に連れ出した。なんだか慌てた様子だ。

「いいから聞いて。ニノの事なんだけどさ」
「えっ」

かずくんの事!?なにかあった!?
ドキッとして急いで先をうながしたのに、

「あっ、いやちょっと待って!」

と、風間は俺の肩に手を置いてじっと俺を見た。
なんなんだよ、もう!

「これから話す事、聞いても俺に当たんないでよ。俺のせいじゃないからね、ね?」
「はあ!?当たんねぇし」
「絶対だよ!相葉ちゃんはニノのことになると見境ないんだもん」

そりゃしかたないだろ。てか、早く話せよ。
せっかち全開でイライラする俺に、風間はオソロシイ事を教えた。

「それがさ、ニノが図書委員の女子と付き合ってるらしいんだよ!」

………………………。

俺は耳を疑った。
コイツハナニヲイッテルンダ?