そのまま二人でくっついて寝た。
と言っても、寝息をたてているのはまーくんだけで、俺は眠り込めずにいた。身体はくたくただから眠りたいのに、なぜか頭の芯が冴えてるらしい。
隣で眠ってるまーくんの顔を見た。
カーテンのすき間から入る外のあかりの中に、まーくんのキレイな輪郭が浮かび上がる。少し口を開けて寝てるせいか、無邪気な子どものようでいつもより幼く見えた。
さっきまでの顔と全然違うじゃん。
そういえば、なんだか今夜のまーくんにはだいぶ余裕を感じたんだけど。俺は相変わらずオタオタしてんのにさあ。そんなところまで先に大人になっていくなんてズルい。なんだよ、練習してるわけ?どこで、どうやってするっての。え、してないよね!?
…なんてね。眠れないとロクなこと考えないなぁ。
今は閉じてる瞼の奥に、黒目がちな瞳が隠れていて、目を覚ましたら俺をうれしそうに見つめるんだ、きっと。そう思うだけで胸がドキドキする。
一緒に暮らしたら毎晩こんな感じなのかな。
いや、さすがに毎日エッチはしないか、そんなんじゃ俺、死んじゃうもん。
マスターたち、どうしてるんだろう。
いやいや、何考えてるんだ俺は。
マスターとせいさんのことを思い出した自分に驚いて、恥ずかしくなった。両手で熱くなる顔を押さえていると、
「眠れないの?」
ふわりと頭を撫でられる。
俺のバクバクいう心臓の音が聞こえたんだろうか。「起こしてごめんね」と小さく謝る。
「なぁに、コーフンしてんの?おさまらない?もっかいする?」
俺は顔を押さえていた手で、速攻頭をはたいた。
そしてすぐさま、「もう寝る!」とまーくんの腕の中に潜り込んだ。頭の上で「くふふ」と笑う声が聞こえた。