まーくんの大きな手が、ありとあらゆる所に触れてくる。足の指まで触るなんてどんだけなの。普段ぶつけでもしない限り、足の指なんて意識しないからくすぐったくてしかたない。
そんなふうに、自分の身体なのに知らなかったことに気づかされることもたくさんあった。
「…っ、もうっ、」
今日もやっぱり胸に執着するまーくん。
「やだっ」と言うと余計にやめなくなるのはわかってるから、やっとの思いで飲みこむ。
胸に触れられるとなんか、気持ちイイなんて…、これもまーくんに教えられたことになるんだな。知りたくなかったけどね!
しかもまーくんに仕返してもくすぐったいだけなんてマジで最悪。俺がオカシイみたいじゃん。
「ん、うわっ」
足を抱えられて思わず大きな声が出そうになった。慌てて口を押さえると、まーくんが不満そうに小さく首を振る。
なんでだよ、ヘンな声出ると聞こえるかもしれないのに。口を押さえる手をどかそうとするから、俺も小さく首を振った。
俺ん家なら姉ちゃんが気をつかってくれて、母さんが俺の部屋に入ってくることはないとはいえ、声が漏れようものならあとで姉ちゃんに文句言われるの俺なんだからな。
「声、聞きたい」
「なんで?ムリ」
「可愛いからっ」
……恥ずかしいっ!
胸を触られるより、ずっと恥ずかしい。
口を押さえたままにしていると、まーくんが覆いかぶさってきて囁いた。
「わかったよ。じゃあ声、出ないようにしよ」
ん?どーゆーこと?
思ったはしから手をどけられ、呼んだはずのまーくんの名前はあっさりまーくん本人に食べられた。
ぐりぐりするキスのおかげで確かに大きな声は出ないけど、頭がくらくらする。
今日は久々に身体を繋いだ。
ここのところ、触りっこばっかりだったから少し怖くて緊張してしまった。
でもまーくんとひとつになる時も離れる時も、なんか、切ないっていうか…胸がキュッとなるんだよ。やっぱり昔ひとつの人間だったからかな?
そうだよね、きっとそうなんだ。