俺がうつむいているのを見てか、まーくんは「じゃあねぇ…」と少し考え顔になった。
「俺のいいところ、好きなところを100個言ってみ?それがお仕置ね」
「……へ?」
そんなんでいいの?と言いかけて慌てて飲みこむ。そういうのをやぶ蛇って言うんだ。
俺は心の中でほくそ笑む。ふふふ、後悔するなよ、まーくんの好きなところならいくらでも出てくるんだからな。朝までかかっても知らないぞ!
「えーとねぇ」
優しいところ、努力家なところ、顔がいいところ、運動神経いいところ、足が長いとこ…
指を折々、思いついた端から並べていく。
「ちょっとバカなとこ」
「おい!」
調子に乗った俺は、力(ちから)バカ男なところ、せっかちなところ、テンション低いときの投げやりな低い声と次々あげていき、まーくんが「おいおい、もはや悪口だろっ」と小さく小突いてきた。
「違うよ、悪口じゃないもん!俺が好きなところだよ。そういうとこも好きなの!」
俺の返事に、苦笑いしていた顔が赤くなる。
なにかもごもご口の中で言っているみたいだけど、そんなの無視して、俺はじっと目を見つめながらまーくんの肩に手を回した。
「そうだ、この肩のアザも大好き!キレイでキスしたくなるなあ!」
わざと上目遣いで言って、シャツを肩から落とし覗いたアザに唇をあてた。んふふ、きっとびっくりしてる。でも大好きなのはほんとだよ。
なんて肩にほっぺたを擦りつけてニマニマしていたら、急に視界がぐるりと反転した。
「もおぉぉ!これじゃあどっちがお仕置されてんだか、わかんないだろっ」
ベッドに押し倒した俺に跨って、まーくんが吠えた。そしてわんこにするみたいに、頭も身体もわしゃわしゃされて、俺はくぐもった笑い声をあげた。