ぱりり…

まーくんの部屋で、ちびちびポテチを食べる。
まーくんはチョコクッキーをつまんでる。
そしてコーラに手を伸ばすのを見て、「甘いお菓子にはお茶じゃないの」と、一応ツッコんどく。
「本郷の受け売りだろ、それ!」
そう言ったまーくんが、俺の手を掴んと思ったらイキナリ指を口に突っ込んだ。
「ひゃぁ!」
指を舐められてヘンな声が出た。
「なななにすんだよっ」
「え、だって。甘いもの食べるとしょっぱいもの食べたくなるじゃない」
それなら俺の指についたポテチの塩じゃなくて、ポテチそのものを食べればいいじゃん!

そんな感じでうだうだじゃれてから、俺はまーくんの膝に頭をのせた。脱力すると身体がだるくて、思いのほか自分が疲れていることに気がついた。
おとなしくなった俺の頭にまーくんが手をそっとのせられる。

「今日はびっくりしたね」

「うん」と小さな声で応える。
本当にびっくりした。

「俺…、えりかちゃんの役に立ったのかな」
「立ってるよ、かずにべったりだったでしょ」
「そうなんだけど…」

落ち着いてきてようやく、心の中のモヤモヤの正体が見えてきた。
確かにえりかちゃんの力になりたかったし、泣き顔が辛かったし、もうせいさんには家出して欲しくなかった。

「でも俺、ほんとは…」

マスターとせいさん、二人のことを聞きたかった。
男同士のカップルらしき人達に初めて会って、すごく心を持ってかれた。自分たちだってそうなのに、いや、そうだから?もっと知りたいって、興味津々だったんだよ、俺。

「サイテー…」

本郷が帰ると言い出さなかったら、きっといろいろ聞いてしまってた。そんな場合じゃないとわかっていて、知りたい気持ちを抑えられなかったかもしれない。本当にカップルかもわからないのにさ。


俺の情けない懺悔を、まーくんは黙って聞いていた。