それ以上考えようとしても気持ちイイに引きずり戻され、頭がふわふわしてしまう。
と、まーくんの手が不穏な動きをみせる。
するりとおしりの間に指先を感じて、俺はまーくんの肩を突いた。
「なにすんだよ、ダメだって!」
「えー、触りたい」
バカなの?触ったりしたら最後までシタくなるんじゃん。今この状況じゃ無理だってわかってるくせに。なのに指先は更に入り込もうと…。
「やめろっつーの!」
俺は身をよじって逃げ出した。

正直、さわりっこでよくない?と思う。
そりゃ最後までしたら、それはそれで気持ちイイっちゃあ気持ちイイけど。あれはちょっと怖い気持ちイイだし。そもそも繋がるのに手間ひまかかるし。
二人でひとつになるのはうれしいんだよ?
でも、まだ慣れていない俺にはけっこうハードル高めなんだよな。

少しの間の攻防戦の末、さわりっこにて終了。
まーくんは、ホットする俺を腕に抱えて
「本郷に勉強みてもらうの、絶対お店でだからな!あ、もちろん俺がいる日ね」
「みてもらうのはいいんだ」
俺の声に笑いが含まれているのに気がついて、まーくんの口が尖る。
「しかたないだろっ。帰りは俺と帰る事!」
よーく釘を刺しておかなくちゃと言うまーくんの首に腕を巻つけて、俺は思いっきりほっぺたをすりつけた。するとまーくんの腕に力がこもり、しばらく二人でぼんやり抱き合った。

シワになった制服を整えたところで、まーくんのケータイがブブッと震えた。
「マスターからだ。明日えりかちゃんのママが帰ってくるらしいよ!いや、話し合いに来る、のかな?かずにもお店来てほしいって」
「え、俺?」
「えりかちゃんがそう言ってるんだって」
えりかちゃんが?
ちょっとビックリだな。
まーくんは「お気に入りだねぇ」と言うけど、それはおまえのほうだろ。
わんわん泣いていたえりかちゃんの顔が思い出されて、心が痛んだ。