思わずキスしちゃったら、まーくんに強い力で肩を掴まれた。
「嘘だろ!?キスまでされたの!?」
「あ、ちがちがちが!」
ホントのこと言うと唇は掠めたんだけど。
あれはキスとは言えないよね?
と思ったことが伝わったのか、まーくんに問いつめられて正直に話してしまった。
怖いこわい、テレパシーなの??
「もぉーー!かずはスキがありすぎ!」
「えぇ、そんなことされるなんて思わないよ」
「だから気をつけろって言ったのにぃ」
悔しがるまーくんが掴んだ俺の肩をゆさゆさ揺さぶってくるから、俺はバランスを崩して尻もちをついてしまった。つられてまーくんまで膝を床につく。
「ちょっ…」
そのまま床に押し倒される。
すぐ近くからまーくんに見下ろされた。
壁ドンならぬ床ドン?
なんだこれ。どどどどうしよう。
心臓が痛いくらいバクバクした。
「えっと…膝大丈夫?」
とりあえず心配になったことを口にする。
まーくんは返事をせずに覆いかぶさってきて、俺の首の、おそらく跡がついているところに唇を押しつけた。
「絶対ダメだから」
くぐもった声がした。
俺は「うん」と答えて素直に謝った。
そして、まーくんの気が済むまで首にキスをするのに身を任せた。
まーくんの重みが気持ちいい。
そのうち首だけでは済まなくなる。
まぁ、そうなるよね。俺も済まないもん。
いつものように俺のぺたんこな胸に執着するまーくんの頭に手をやり、両手でほっぺたをはさんで顔を上げさせた。
目を合わせてからキスをする。まーくんの黒目がちな瞳がうれしそうに光って見えた。
さわりっこする勢いが増して、
「ん、んん、あっ…」
思った以上の声が出てしまい手で口を押さえたと同時に、階段をあがってくる足音。
一階にいるお母さん?に向かってなにやら答えながら、ゆうくんが歩いてくる。
俺はじっと固まっているのに、まーくんの手は止まらない。口を押さえたまま必死に頭をぺしぺしするも全く動じないから始末が悪い。
蹴り飛ばしてやろうか迷っているうちに、足音はドアの外を通過して行った。
「おまえなっ、もぉ…」
その続きもまーくんに飲み込まれてしまって、文句も言えやしない。
俺は流されながら、ゆうくんが遊びにきた彼女と部屋でイチャイチャしてたとまーくんが言っていたのを思い出す。知らないでドア開けて、驚くまーくんにゆうくんがドヤ顔したって。
すごいなぁ。俺には無理。
まーくんはドヤ顔しそうだけどね。
やっぱりなんか、申し訳ないような気持ちになっちゃうんだよな…。