そこからまた生徒会室まで手を繋いでたらたら歩いた。ほんとは並んで歩きたいけど、まだちょっと後ろでひっぱってもらう。
「で、まだ菅田にギター習うの?」
「うん。早く弾けるようになりたいからね」
「せっかちだなぁ」
人のこと言えないくせに。
とにかくまーくんの誕生日までに、曲作って聞かせられるようになりたいんだもん。音作りはなんとかなっても、あんまり悲惨な腕前じゃね。
まだナイショだけど、これが今年の誕プレ。
あと二ヶ月でいけんのか、ちょっと焦ってる。
なにしろサプライズだから、目の前であからさまに練習もできないしさ。
ここはもう菅田に頼るしかない。
俺は上目遣いで訴えた。
「菅田、いい奴だよ」
「…わかってる」
そう答えながらも、やっぱり少し不機嫌そう。
「あいつ、人との距離が近すぎなんだよ。すぐベタベタ触るだろ」
「そう、だっけ?まぁそうかな」
「かずも距離感おかしいんだし」
「え、俺?」
まーくんが俺を見てため息をついた。
「そんなだから心配なのっ!そんな二人じゃベタベタ度合いが2倍になるだろっ」
えぇぇ、そんなって。
俺はまーくんの腕に自分の腕をからめた。
「俺がくっつきたいのはまーくんだけだよ」
みるみる黒目がちな瞳がキラキラする。
俺はね、そんなおまえを見ていたいんだよ。
ずっとこのまま一緒に歩いていきたい。
ただそれだけなんだ。
言葉にはしなかったけれど、俺の手を握るまーくんの手に力がこもる。
きっと伝わってる。
だって俺たち、ひとつだったんだもの。
そうでしょ?
「マジでキスしたくなったっ」
「バカじゃないの」
そう言って二人で笑い合う。
まーくんの手から同じ気持ちが伝わってきた。
と、俺はそう感じてる。
それは俺の中で確信に変わっていった。
明日も明後日も、こうやって歩いていく。
胸が高鳴るそんな秋の夕暮れ。
おしまいっ