それからしばらくリビングでなんとなくテレビを眺めて、たいして内容もない話をしたりした。
なんだかタイミングがわからない。
どう切り出せばいいのか。
部屋に誘うとか?
単に「シよっ」と言えばいいのかもしれないけど。午前中の明るい日差しの中で、それを口にするのはためらわれた。なんでもない雰囲気からいきなりソウなるのは難しくない?
まーくんも似たようなこと考えてる感じはすごくするのに、たいして触れてこないし。
お互い相手の出方を伺ってるみたいで、会話もどこか上滑り気味で落ち着かない。
この不思議な攻防戦?がもどかしいながらも、ちょっと楽しくなってきて、俺はクスリと笑ってしまった。

「なぁに」
「え、や、何考えてんのかなあって」
「…なんだと思う?」
「さあ?わかんないよ」

まーくんは俺をじっと見てから人差し指を顔の前でチッチッチッと振った。

「嘘はよくないなぁ」
「嘘って」
「絶対同じこと考えてる!」
「同じってなんだよ、わかんな」

言い終わる前にもう腕の中に抱き込まれていた。

「同じでしょ?」
「…………ちが」

否定したって、バレバレだよね。
触れた瞬間、俺の手がもう反射的にぎゅうぅとしがみついちゃったもん。
それでもちがちがって首を振る俺のことなどお構いなしにまーくんは満足そうに膝に抱き上げる。
「かずは素直でわかりやすいからね」
素直?俺が?
どっちかと言うとわかりにくいと評判ですけど?
くふふと笑うまーくんの唇が、熱くなった耳に触れてくる。
俺はもうそれだけでゾクゾクして、おとなしく腕の中に収まった。


気の早いまーくんの手が服の中に入ってくる。
昨日と同じ熱い手のひらに撫でられて、(やっとだ)とため息混じりにうっとりした。
気を抜くとすぐにイタズラな動きになるから油断ならないけど、それすら結局気持ちいいんだもんな。

どうしてまーくんだと気持ちいいんだろう。

だって男だよ?
どうこう言っても男だし。
俺ってそういうタイプの人なのかとも考えたけど。
でも菅田にキスされた時はイヤだった。
別に菅田がどうこうというわけでなく、たとえそれが潤くんでも風間でもやっぱりキスするのはムリだと思うんだよね。だってヤダもん。
仲がいいだけでは越えられない何かがそこにはある。


でもまーくんだと気持ちいい。
今だって、ほら…

俺はもっともっとって欲張りになるよ。