キスしてこようとするから、うさぎじゃなくなった手のひらで押しとどめる。
「なにすんだよっ」
「え。だって可愛いから」
「はあ?」
「かずもしただろ、さっき」
そーゆーつもりでしたんじゃない。
こんなスケベなんじゃないもん。
俺は触りまくるまーくんの手をつねった。
「どうしてところ構わずその気になるかな!?」
「かずが可愛いのが悪い」
なんでだよ、なに俺のせいにしてんだよって頭をはたこうとしたら、一気にシャツをまくりあげられて
「ひゃあ!」
驚いた拍子に後ろにひっくり返ってしまった。
間を置かずに胸に濡れた感触。
「ヤダってぇ…」
なんでまーくんが俺の胸に執着するのかマジでわからない。俺のぺたんこな胸のどこがいいんだか。
とにかく恥ずかしい。
しかもこの頃、胸から導火線でも繋がってるのか触られるとなんだかおなかの底がムズムズしてじっとしていられないんだよな。
キモチイイっていうか…。
だから余計に恥ずかしい。
いっその事下のほう触られるほうがマシなくらい。
薄暗い倉庫の中に俺のくぐもったヘンな声が小さく響いた。
お腹の辺りを強く吸われて、午前中背中に跡をつけられたことを思い出した。
「だめっだって!」
身をよじってまーくんの下から這い出す。
おかげで着ぐるみが膝あたりまで脱げた。
「なんで跡なんかつけんだよ!?誰かに見られたら困るの俺なんだけど!」
シャツを戻しながらぶうぶう文句を言った。
「見せるためにつけてんのっ」
「はあ?」
今度こそ頭をはたこうと手を上げたら、その手を取られて引きよせられる。そして吸血鬼みたいに首に吸いつかれた。
そんなところに跡をつけられてはたまらないと俺はじたばた抵抗した。背中の時とは違ってチクリとする前に唇が離れた。
「ホントはここにつけたいくらい」
なんなら俺の名前書いておきたいとか、オソロシイことを言うから冗談かと思ったけど、まーくんの目は真剣そのもので俺は戸惑った。
「なんでそんなことしたいの」
「そしたらかずが言い寄られる心配しなくて済むからさぁ」
「俺ぇ??」
誰に?そんなことあったっけ??
きょとんとする俺を見て、まーくんはため息をついた。