「なに堂々と会ってんだよ。ダメ出しくらったんだろ?俺が言われるんだからな」

潤くんに連れられて生徒会室に戻ると、なんとまーくんが待ち構えていた。
「どぉこ行ってたのかな?」
潤くんが上手い具合に誤魔化してくれたからよかったけけど。
なんかなぁ。見張られてるみたいで、それもモヤモヤするんだっての。

「会長、コンテスト飛び入りしないんスか。会長が出たら絶対1位だし、告白タイムすっげぇ盛り上がると思うんスけど」

小栗くんがまたまーくんの事、会長と呼んでるな。元会長だってば……って待って、何それ。
「告白タイムってなに!?」
まーくんがなにか言う前に俺が叫んだ。
「はぁ!?おまえ校庭担当のくせに知らねぇのかよ。ちゃんと申し送り読んどけ」
「だって今日決まったんだもん」
「だってじゃねえ…ぐがっ」
呆れて俺の頭をはたいた小栗くんは、またもや後ろからまーくんに膝カックンされてた。

なんでもコンテストの終わりに、出場者に対して告白したい人が名乗りを上げるらしい。
ふつーの美男美女へのガチももちろん、ムキムキメイドさんにムキムキマッチョがというその場限りの告白も有りだとかで、かなり盛り上がるんだって。
そこだけでも教室から見ておけばよかった。
いやでも、今年まーくんがもし参加したらガチのやつが来るじゃん!
小栗くんに更にヤキを入れようとしてたまーくんのところへ思わず駆け寄る。
「なぁに?出るわけないだろ。だいたい告白なんてされないって」
そう言って俺の頭をくしゃくしゃした。
わかんないよ。由里子ちゃんが告白するかもしれないじゃん。
自分がモテるって自覚が足りないんだよな。
賑やかな生徒会室で一人取り残されたような気分になった。

「あ、やべっ」

担任の先生との面談の時間だと言って、まーくんが慌てて飛び出していった。
静かになった生徒会室で座って、あらためて申し送り書に目を通す。
でも出るのはため息ばかりで、頭がカボチャにでもなったみたいに内容が入ってこない。
俺はガタンと椅子を倒す勢いで立ち上がった。

「ごめん!今日はもう帰る!」

潤くんが驚いて、「待たなくていいの?」と聞いてきたけど、別に一緒に帰らなきゃなんないわけじゃないし。
いいんだもんね!