自分でもおかしいって思う。

まーくんがモテるのは今に始まった事じゃない。これまでだって、クラスの人気女子とかバスケ部のマネージャーとかいっぱい告られてたの知ってるし。
その度に気になって仕方がなかったけど、モテるまーくんを誇らしく思う自分も居て。
まだ、なんでそんなに気になるのか自覚してなかったし。
独り占め出来なくなるのが嫌なんだくらいに思ってた。子供っぽいヤキモチなんだと。
それにさ、告白されてもなんだかんだ理由をつけて誰とも付き合わなかったから、心のどこかで勝手に安心してたんだ。

それが今。
まーくんの腕の中にいるのは間違いなく俺で。
お互いの気持ちを知ってなんにも心配しなくていいはずなのに。
なんでこんなにモヤモヤするんだろう。


「なになに、ほんとに菅田に刺激されたの?」

しがみつく俺に、「それも悪くないなあ」とか言ってまーくんが笑うから、思わずそっぽを向いた。
長い指が優しく俺の唇をなぞる。

「なんかあった?」
「……なんも」
「こないだ松潤が言ってたよね?菅田がなんか謝ってたって」

え。あ、それ!?
ヤバい。平静を装いながらも、頭の中では脳みそが汗かきそうなくらい焦った。

「あああいつはいい奴だけど、惚れっぽいって言うかさぁ。何人も彼女いて、もしかしたら彼氏もいるかもしんなくてさ、相手の子たちどう思ってんのかなあ?目の前でチユーされたりしたら嫌じゃん」
「あいつ、男ともするんだ?」
「そう!びっくりだよ」
「見たんだ?」
「そっ……え?」

誰と?って顔を覗き込まれる。
いつもは優しい黒目がちな瞳がなんか怖い。
とっさに誰の名前も思いつけずにいると、

「知ってる?人はやましいことがあると、いっぱい喋るんだよね」


うぎゃー!
絶対バレてる!!