夏休み…。
まーくんは学校の補習に、しょうちゃんの家庭教師にと、受験勉強で結構忙しい。
そりゃ一緒にプールに行ったりゲームしたりもするけど、去年ほどじゃない。
せっかくの夏なのになぁとも思ったり。
別に、べつに、イチャイチャしたいとかじゃないよ!そんなんじゃないもん。

そこで俺は、誕生日にもらったギターの練習ばっかやってた。
もううれしくて、ほんと抱っこして寝たいくらいだから、そういう意味では充実してる。
なんか曲とか作れないかな?とか。
ふふふふふ。
ゲームとギターで引きこもり…のつもりが。

夏休みの後半辺りから、なにかと学校に呼び出されるようになった。そう、秋の文化祭に向けて準備が始まっていたんだ。

「こんなの実行委員会の仕事じゃないの」

暑い中、潤くんと西畑と学校近くの商店街をうろつく。パンフレットに載せてくれる広告主を募るためだ。と言っても毎年だいたい同じお店なんだけどね。
潤くんは顔が広いから適任なのはわかってる。

「実行委員会は仕事が多すぎるからさ。できることは俺たちでやらないと」

ほんとに真面目だよなぁ、潤くんは。
「はい!先輩、これ」
西畑が笑顔で冷たいペットボトルを渡してくれる。相変わらずかわいいワンコ。
貰うのは悪いと思ったら、さっきお店の人がくれたんだって。

「さすが人たらしだな〜」

そう言うと二人から呆れられたんだけど。
なんでだ??


生徒会室に戻り一息つく。
パンフレット用に集められた部活動の資料をぼんやり眺めていて、ある箇所に目をとめた。

「軽音部ってあったんだ。てか、何ここ部員めっちゃ多いな!」

知らなかったぁと潤くんを見ると、潤くんはぴくりと濃い眉をあげて資料を手に取った。

「まぁ、数字上はね。ほとんど幽霊部員だよ。なんて言うか…ほぼファンの集まり?」
「なにそれ」

部長の名前は菅田将暉。
活動しているのは実質部長だけなので、本来研究会にすら当たらない規模なのに、たくさんの幽霊部員というファンのおかげで部として成り立ってるんだって。
すごいな、どんだけだよ菅田将暉。

「ギターの腕はなかなかだよ。悪い奴じゃないし、ギター教えてもらう?それなら言っとくけど」


そう言われて次の日行ってみた軽音部。
俺は驚くことになる。