「あれは何かな?」
「えぇと、あれ?」
ヤバい。
まーくん、笑顔なのに目が笑ってない。
神木の動画見たんだよな、きっと。
やっぱり言っとくべきだったかな。
いや待て、あれが俺だってわかるか?
ほんとにほぼ後ろ姿だし、髪長いし、顔も口元くらいしか見えないじゃん。
ここはしらばっくれとくか。
「あれってなんのこと…」
「かず!」
「…………はい」
ダメだ、絶対バレてる。
まーくんは腕を伸ばし、俺のこと絡めとるように自分に引き寄せた。
「なんで黙ってあんなことするかなぁ?」
耳元で囁かれてゾクゾクする。
黙ってて悪かったと思うけど、それと同じくらいなんでいちいち言わなきゃならないんだという気持ちもムクムク湧いてきた。
だって今回のことはまーくんには関係ないんだしさ。あくまでも俺の問題じゃん。
なんで怒られなきゃなんない訳。
「…ふーん」
急に突き放される。
ヤバ…今思ったこと伝わった?なになにテレパシー?それとも顔に書かれてた??
まーくんは不機嫌そうに長い指で俺のシャツのボタンを器用に外しはじめた。
下までいかないうちに肩を抜かれて、そのまま机の上にうつ伏せで押し付けられた。
「ちょっ…なにすんだよっ」
思いがけない行動に焦るのに、のしかかられて動けない。こんなとこでウソだろ!?
晒された肩から背中に唇が触れる感触。チクリと刺されるような痛みに俺は暴れた。
「ちょっとやめろって、誰かに見られ…」
「そうじゃないでしょ?」
「は、ぁ!?」
「もうね、かずの身体はねカズだけのものじゃないの。俺のでもあるわけ。わかってる?」
俺は首をねじ曲げてまーくんを見上げた。
怒ってるというより悲しそうな表情に胸がキュッとなって大人しく「うん」と答えた。
そのまま後ろから抱き起こされ、また丁寧にボタンを掛けられる。
「ごめんなさい」
小さい声で謝るとぎゅっとされた。後にいるから顔は見えないけどちょっと笑ってるような気配。むうぅ、なんかムカツク。
「あのー、入っていいっスか?」
「ひゃああ!」
潤くんの声に飛び上がった。
まーくんはニコニコ動じる様子もなく
「お〜松潤!文化祭は問題なく進んでる?」
「先輩、そういうのは家でやってくださいよ。仕事滞るんで!人払いも大変なんですから」
「ええ?かずが背中痒いってゆーから見てだけだよ?」
だからそういうわかりやすいウソをつくな!
ほらぁ潤くんが呆れてるじゃん。
恥ずかしくて俺は逃げ出したくなった。
運がいいのか、神木の編集が上手いのか、あの心霊少女が俺だということはバレなかった。
結果的に、映画研究部も話題を集めて入部希望者も増えたみたいだし、美術部は真面目な希望者だけ残ったみたいだし。
神木はメガネ女子の部長にめっちゃ文句言われたみたいだけど自業自得でしょ。
まぁよかった、のかな?
俺としては、まーくんが一目で俺だとわかったって事が一番の驚きで。うれしいのかコワイのか…。
ほんと、油断ならないやつなんだ。
大好きだけどね!
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ううぅ。なんとか間に合いました_(:3」∠)_
今回もお題にほぼ合わせられなかった、辺境のお話書きのむむにのと申します。
にのちゃん溺愛で、にのあいの番組を切望しているにのあい担です。愛されにのちゃんが大好きなので磁石とか末ズも好き←
来てくださった方、ありがとうございます!
今回も楽しいイベント企画、所長様R*様
ありがとうございました!!