放課後、生徒会室に行こうとしてるとこをあっさり拉致られて、自転車の後ろに乗っけられてしまった。
「もおぉ!今日は西畑と作業する予定だったのにぃ。ねえってば!」
「だからだよっ」
「えぇ?なに?なんて言ったの?」
まーくんはチラッと振り返っただけで、勢いよくペダルを踏み込んだ。
俺は慌てて振り落とされないようにしがみつく。もおぉ、危ないじゃん。
「しっかり捕まってろって」
なんだよ、もう。
それ言う前にもう漕いでるっての。
スタンドのとこに足を掛けてエイッと立ち上がってやった。首に腕を回したから
「おわっ!?!」
自転車が大きく蛇行する。
2人でぎゃあぎゃあ言いながら帰った。
俺ん家に送ってくれるかと思いきや、まーくんの部屋に引っ張り込まれる。
ぐいぐい腕を掴まれて痛いいたい。
リュックを降ろしてるとまーくんが目の前に立ち、キラキラする目で見つめてきた。
「…え」
「誕生日おめでとっ!」
ぎゅっと押し付けられた物を見て驚いた。
ギターだ。
アコギ!
「ええぇ!!どうしたのこれ」
「どうしたのって…」
まーくんは苦笑いしながら買ったに決まってるだろって。
翔ちゃん…てか、正確には大野さんの学校の知り合いに楽器屋さんを紹介してもらったと。
大野さんとこは音楽学部もあるから。
誕プレの相談ってギターのことだったんだ。
「こんな、こんな…。高い、んじゃないの」
ギター持つ手が震えてしまう。
手汗が滲む俺の手をまーくんが上から握ってくれた。
「ほんとは大学入ってバイトしてからのつもりだったんだけどさ。どうしても今年渡したくてふんぱつしたっ」
だからしばらく誕プレは漫画本な!って笑う。
ギター抱えたままヘナヘナ座り込んだ俺は
「なんで今年?」とまーくんを見上げた。
「記念だからっ!」
きねん?
「そっ!かずと繋がれた記念!」
うわわわわぁ。
めっちゃ恥ずかしい。
けど、けどうれしい…。