「はぁ〜。それで雅紀は寝不足なわけ」
久しぶりに会ったしょうちゃんは、なるほどと俺たちの顔をかわるがわる眺めた。
俺はハッとしてまーくんを見る。
「ご、ごめんね、やっぱ狭いし…よく寝られないよねっ」
そんな当たり前な事も気がつかない、いっぱいいっぱいな自分を思わず呪った。
するとしょうちゃんが「違うちがう」と笑いながら俺の頭を撫でた。
「大好きなにのちゃん抱っこして寝てるんだからさ、そりゃ寝不足になるって話で…」
「翔ちゃん!」
真っ赤になったまーくんがしょうちゃんの顔の前で、ワタワタ手を振った。
その様子に、寝不足のイミに思い当たった俺の耳も赤くなる。
そっか、そうだよね。
俺、眠ることに必死で…そういうコトまで気がいかなかったな。
「なんか、ごめん」
しょんぼりする俺にまーくんが慌てる。
「なに謝ってんの。俺が一緒に寝たいからやってんだって、そう言ったろ!?」
「にのちゃん、愛されてるね〜」
「もう、翔ちゃんってば」
しょうちゃんは「雅紀我慢して偉いエライ」って、今度はまーくんの頭を撫でるから、まーくんが避けようと暴れてる。
そんな2人をぼんやり見ながら俯いた。
ほんとは、もう大丈夫って、一人で寝られるよって言わなきゃと思ってはいるんだよ。
今日は言おう、今日こそは言わなきゃって。
でも夜の俺は意気地無し。
まーくんの顔見ると言葉にならない。
一緒にいて欲しくてたまんない。
メンドクサイ彼女どころか、もはや幼稚園児の駄々こねレベル。あぁ自己嫌悪…。
「かず!」
まーくんの手が遠慮なく俺の頭をわしゃわしゃする。
「だから、翔ちゃんの言う事いちいち真に受けちゃダメだってば」
そうかなぁ?翔ちゃんの言葉はなんだかんだいっても、いつも的をえてると思うけど。
当のしょうちゃんは、いつも通りの爽やかな笑顔で、俺たちをお家に招待してくれた。
「まぁ、いろいろあって大変だったことだしさ。智くんもにのちゃんに会いたいと言ってたし。にのちゃんのお誕生日祝いも兼ねてみんなで飯食おう!」
それで週末しょうちゃんちに出かけて行くことになった。