母さんにはめっちゃ泣かれた。
ここのところ立て続けだから、「かずくんには何が起きてるの!?どうしちゃったの!」と問いただされたけど、それは俺が知りたいよ。
前回は巻き込み事故だったとはいえ、今回は明らかに俺が狙われていたわけで。
なんでこんな目に合うのか訳がわからない。
まーくんのお母さんには、お祓いしてもらおう!とかひどく真面目な顔で言われちゃった。
え、なんか憑かれてんの俺?
ヤダヤダ、コワイんですけど…。
今回は俺が被害者になった。でも危うく加害者にもなるとこだったんだ。
それをまーくんが止めてくれた。あの時まーくんが居なかったらって考えると、自分で自分が怖くなる。
自分を見失ったことでまーくんまで怪我をさせてしまったし。
情けなくて泣けてくる。
しょんぼり「痛い思いさせてごめんね」と謝る俺にまーくんは「かずは悪くない!」と強く言い切った。
「だけどアレはダメ!あんなオッサン刺されたって構わないけど、かずがやっちゃダメ」
そんな経験させたくないとか、ますます泣けてくること言うくせに、
「ま、あの時オッサンと向かい合ってたのが俺だったら、ボッコボコにしてたけどさ」
コロシちゃってたかもなんて…。
俺はダメなのに自分はいいんだ?
そうツッコミながらも、まーくんの気持ちが胸に染みて、肩に頭をこてんと乗せた。
俺がダメならまーくんだってダメなんだよ。
結局気持ちは一緒なんだよな…。
俺はまーくんのシャツにほっぺたをコシコシこすりつけて涙を拭いた。
まーくんは俺の手をギュッと握りしめてたけど、「そうだ!」と急に俺の顔を両手で包んで、しっかり目を合わせてきた。
「言っとくけどっ。この傷は俺が自分でやったんだかんな!」
どんだけ俺を甘やかすんだろう。
俺は腕の痛みも忘れて、まーくんにしがみついた。
離れたくない。
かつてひとつだったと言うのなら、
なんで今そうじゃないんだろう。
驕り高ぶった大昔の人間なんか
クソくらえだ。