そのまま仕事を切り上げて、西畑と街中まで出かけることにした。
こういう事は早く終わらせておきたいし。
西畑はさっきまでと打って変わって、ニコニコしっぱなし。
子どもみたいなヤツだなあ。
ほんとのこと言うと、どんなカップでも全然構わないってか、なんでもよかったんだけど、西畑が一生懸命に選んでくれたから、ありがた〜く受け取っておいた。
可愛い後輩だよね、ほんと。
嬉しそうな西畑見てると、さすがに「じゃあね」というわけにもいかず。
ハンバーガー奢って、2人で食べて、その流れで一緒にゲーセンに行ったんだ。
こいつ結構上手でさ、対戦ゲームしたんだけど、なかなか白熱した戦いになって楽しくなっちゃった。
なんかデートみたい。こんなとこまーくんに見られたらマジでヤバいよね。
いやいや、デートじゃないし!
後輩と遊んでるだけだし!
そう思うなら言えばいいと思うのに、なんか言えない俺もいて。
自分でも矛盾してるとわかってる。
だいたいさ、大昔はひとつだったかもしんないとしてもさ、今は別々なんだもん。
学年も違うし、せっかちなまーくんとは流れる時間も違うだろうし、なんでも一緒ってわけにもいかないじゃない。
…なんて。言い訳がましい俺。
この頃、言えないことが多くて後ろめたいんだ、結局。
まーくんの黒目がちな真っ直ぐな瞳を思い出して、落ち着かなくなってるところに鳴り響くケータイの着信音。
「うわわわわっ」
飛び上がってケータイ見ると相手は風間だ。
「なんだよ、驚かすなよぉ」
「あれ?外?ゲーセンかな?」
「そ。駅前に来てんの」
成り行きを簡単に説明すると、「律儀なんだねぇ」と風間は笑った。
「そうだ、本郷何か言ってた?」
「それなんだけど…」
話はできたらしい。
本人曰く、考えがあってやってる事なんだと。
考えねぇ。
それにしても、さすが風間だな。
「もう7時過ぎだし、なんならあいつと一緒に帰ってくれは?バイト8時までだそうだよ」
ええぇー。なんで?
もう遅いからなんて、俺は女子高生か。
みんなして俺のことなんだと思ってんの!?