痛い。
控えめに言っても痛い。
けどそれより、もういないまーくんのがまだあるみたいな挟まってる感がハンパない。
心と頭はふわふわしてるのに、身体は重だるいし、なんかへんな歩き方になっちゃう。
「かず、大丈夫?」
心配するまーくんに手を引かれて、ヨタヨタうちに帰った。


そういや母さんへのメール、結局未送信のままでまーくんのごはんがなかった。
でも食欲ze〜ro〜な俺の分を食べて貰えるから、結果オーライ。
「あら、かずくん風邪?顔赤いわよ」
熱かしらって、母さんが体温計を出してくる。
その時、帰っていた姉ちゃんと目が合った。

………ヤバい。

思わず目をそらした。
姉ちゃんの視線がビシビシ刺さる。
レーザー光線だったら俺は穴だらけの蜂の巣にされてたに違いない。
なんでだ!?どっかなんか残ってる??
制服もきちんと着てるよね?
ドキドキしながらまーくんと2階に上がろうとすると、なんとポカリスエット持って姉ちゃんがついてくる。
「私がみてるから、雅紀くんはごはん食べてきて。お母さん用意してたから、ねっ!」
「あ、えぇと、…はい」
ニッコリ笑う姉ちゃんにあっさり追い出されちゃってさぁ。まーくんのバカ。

姉ちゃんにはこの前の事件の時に「なにやってんのよ!」って泣きながら怒られたことで、俺の八つ当たりはなんとなくうやむやになってた…と思う。
なのに目が合わせられなくて、ソワソワしてると姉ちゃんが一言。

「………アゴんとこ」

え。うそ。
とっさに手で顎を隠した。
そんなに強く噛まれたっけ?んなことないと思うけど、あいつ力加減バカ男だから、まさか歯形ついてる??

「……ホクロついてる」
「…………は…」

うわぁぁぁ俺のバカ!
なに引っかかってんだよ、ダメじゃん!!
耳まで猛烈に赤くなった俺は、布団の中に潜り込んだ。

姉ちゃんは俺の布団を軽くぽんぽんすると、
「なんにしろ、わたしは味方だから」
ゆっくり休みなねって部屋から出ていく気配に、急いで布団から目だけ出した。

「姉ちゃん!」

「ん?」って振り向くから、

「こないだごめん。…んと、ありがと」

そう言ったら、姉ちゃんまで真っ赤になって。
俺はまた布団の中に逃げ込んだ。
姉ちゃんにはバレてる、ゼッタイ。
なんでだろ、なんでわかったんだろう。
ほんとに顎のとこ赤いのかな?だとしたらあいつのせいだ。くそぅあのバカ!

部屋には鏡なんかないから、ケータイで自撮りするしかないかと横着して寝たまま手だけ出してリュックを探ってると、まーくんが2階に上がってきた。
「なに、ケータイ?もうゲーム?」
「おま、おまえさぁ!ここ噛んだだろ。なんで噛むんだよ、もう!」
へぇ?って言うまーくんに顎を突き出す。
「姉ちゃんにめっちゃ見られたんだぞ、気付いてるっぽいしさぁ!赤くなってるだろ、ゼッタイ。ねぇねぇここ!」

ちゅ。
キスされた。
え、いや、違う。そうじゃなくて。
顎が赤いのかって…ん、んー…



それからしばらく離してもらえなかった。
















*****

皆さんが書いていらっしゃる件。
わたしもお写真無しで書こうと思います。
わたしの場合、もっぱら「インスタにのちゃん」なのだけど、皆さんきっと見てらっしゃるでしょうから、あのにのちゃんね!って心の中で共有できるといいなと思っています(^-^)

今後ともよろしくお願いします!