事件のあと、学校にテレビ局の取材が来たり、週刊誌の記者が来たり、なかなか騒がしかったけど、じきに落ち着いた。
俺は目立つのキライだし、学校行くの気が重かった。ぐずぐずする俺を、まーくんが自転車の後ろに乗せて登校してくれた。
でもそんな心配必要なかったね。
一躍時の人となった小栗くんが、すべての話題をかっさらってくれてた!
「現行犯逮捕だもんなぁ」
風間が出した学校新聞の号外を眺めながら、生徒会室でお茶を飲む。
隣で西畑もうんうん頷いてる。
当の小栗くん本人は、始まったリハビリのキツさに「あいつは鬼だ」と担当の先生に文句タラタラだ。
「そんなこと言うけど、女の先生でしかも美人らしくて。満更でもないみたいだよ」
とは、潤くん談。
ちなみに、小栗くんのお父さんは、警察のお偉方なんだって。
「彼女、大丈夫なの?」
西畑はちょっと笑って、一口お茶を飲んだ。
右目の痣もだいぶ薄くなっていた。
「さすがに目が覚めたみたいです。懲りたっていうか」
「男見る目を鍛えなきゃ。てか、こんなにそばにいい男いるのにな」
西畑はきょとんとして、「先輩ですか?」って…なんなの、それ。天然過ぎだろ。
「おまえだよ!今ごろおまえの事で頭いっぱいかもよ」
「え?僕ですか?」
「なんだよ、もう。好きなんだろあの子の事」
膝に置いた手の中で湯呑みをくるくるさせながら、西畑は考えかんがえ答えた。
「好きでいたい、好きでいなくちゃって思ってました。幼なじみの僕が守ってあげなくちゃ、そうするのが当たり前だと思い込んでた。あの子独りぼっちだったし」
幼なじみという言葉に俺の心がぴくりと反応する。俺とまーくんも幼なじみ。
まーくんの気持ちも思い込みってことあるのかな。いや、そんなこと…。
「でも僕も目が覚めました。ほんとに好きな人見つけたんで!」
明るい目をした西畑が、俺を見つめてニッコリする。え?どういうこと??
キョドる俺を見て、西畑は声を出して笑った。
俺はなんだか無性にまーくんに会いたくなった。別に気持ちを疑ってるわけじゃないけど。
なんなら思い込みだって構わないんだ、俺が好きなんだもん。いや、構うのか?
ぐるぐる考えてしまう。
「かず!」
勢いよくドアを開けて、まーくんが生徒会室に入ってきた。俺と西畑が2人で並んいるのを見て、すぅと目が細められる。
「今日はカテキョだよっ。ほらリュック持って、早く!」
せっかちに俺の手を掴むと、ずんずん引っぱっていく。俺は慌てて西畑に小さく手を振って、素直に拉致られた。
俺はバカだ。なに揺らいでんだよ。
まーくんはいつだってこんなに真っ直ぐなのに。
会いたいと思ったまさにその時に現れてくれたのがうれしくて、思わず腕にしがみつく。
まーくんは「どした?」って不思議そう。
「なんでもな〜い!」
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息子と主人がふざけて尻相撲してたら←ナニシトル
主人まさかの打撲(°口°๑)
足引きずってマス。息子の尻ハンパないな!
てかさぁ、もし病院行ったとして、状況説明するのに尻相撲って……先生のリアクションが気になるわぁ(^_^;