静かなホール。
俺はかずくんに誓いのチューをした。
顔を離したとき、廊下から射し込んでいた明かりが、すっと遮られた。

「おま、おまえっ!なにしてんだよ!?」

大きな声にかずくんがビクってする。
あいつだ。いつもかずくんをいじめるやつ。
俺はかずくんを背中に隠すようにして立ち上がると、そいつを廊下に押し出した。
「おまえ、おまえ、おかしいんだよ!」
顔を真っ赤にしてわめくのをじっとにらみつける。そして気がついた。
あいつの右手に黄色と緑色のクレヨンが握られている。

「おまえがクレヨン折ったのか?」

ちょっと怯んだ様子に確信する。
「しし、知らないよ。勝手に落ちて、かってに折れたんだろ」
「そんなのおかしいだろ」
「おかしいのはそっちだろ!」
目に涙を滲ませてあいつは叫んだ。

「あの子にヘンなことして、おかしいんだよ、気持ち悪いんだよ!!」


俺の中のなにかがぷつんと切れた。
気がついたら掴みかかってた。

なんでいじめてるおまえが泣くんだよ
なんでクレヨン台無しにしたおまえが目、真っ赤にしてんだよ
かけっこで負けたからじゃなかったのかよ…



たぶん先生が驚いて飛び出してきたんだと思う。友達もわぁわぁ言ってただろう。
けど、俺の耳には入ってこなかった。
あいつがかずくんにちょっかい出す理由がわかった気がして、それだけで頭がいっぱいになってた。

あいつと掴み合いしながら転がりあって、視界の隅に階段が入った時にはもう遅かった。あいつの足が俺のおなかにヒットする。

「まーくん!!」

かずくんの悲鳴だけが耳に残ってる。
真っ青になって泣いてる顔が見えたような気がした。

俺は階段から転がり落ちていた。













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だ、だめだ…(´×ω×`)
展覧会、やっぱり落選でした。
さすがに落ち込むよーぅ。・°°・(>_<)・°°・

せめてNさんが当選してるといいな!

がんばれわたし。
最後のエントリー、めげずにするぞ!