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1996年8月、37歳の時、私はインド北端のラダック地方に旅した。40歳前までの私は、ときおり世界の僻地のようなところにも旅したことがあった。
ラダック地方はインド最北端に位置し、標高は3000mを越えている。チベット高原の西端にあたり、チベット系の住民が住み、チベット仏教(ラマ教)が信仰されている。私は、パキスタンとの国境に近いカシミール地方をへて、陸路、ラダックに入った。カシミールの中心都市シュリナガルからラダックまでは、インダス川に沿って自動車道が一本だけ通じている。距離は400kmあまりで、かつて大乗仏教がチベットに伝えられた道に近い。
出発地のカシミール地方は、標高が高いため、日本と同じように春夏秋冬の四季があり、秋には紅葉し冬には雪が降るそうである。カシミール人の多くはムスリム(イスラム教徒)である。
シュリナガル市街を離れて、水田の広がる田舎道をいく。道はやがてヒマラヤ山脈西端部の峠を越えて、インダス川上流部の渓谷へと登っていく。道幅は7~10mで、右側は高さ200mはあるかと思われる、インダス川峡谷である。道幅が狭い所では、一方通行(午前と午後にわける)である。カシミールからラダックへの唯一の幹線道路なので、トラックが延々と続いて渋滞している。
ドライバーのカシム・アリ氏(60歳)は運転の達人で、曲芸のようにトラックを追い抜いていった。

シュリナガル郊外を行く
インダス川の上流・ここから、渓谷は深くなっていく

幹線道路の路肩が・・・・

ドライバーのカシム・アリ氏、曲芸のように車を運転する

