言われた通りに川で顔を洗い、火の側まで戻る。

綾之介の手を超えるほど大振りの川魚が三匹、木椀に大盛りの粥が待っていた。


「食え。」


またもぞんざいに言われる。 


その多さに逡巡しているとジロリと睨まれる。


いただきます。」


圧に負けて木椀を手に取る。


ゆっくりと丁寧に食べ進めるその姿に、

左近は育ちの良さを感じた。


元より食が細いのかもしれない。

鈍って来た所で問いを投げる。



「お主、葉隠に着いてどうする?」


三日前と同じ問い。

それは問いの形をした確認。


ぐっ、と歯噛みするように綾之介が睨む。

けれどさらに斬り込む。


「野垂れ死か、着いた先の足手まといか?」


さて、どちらだろうな。


揶揄するように言うと視線が折れた。

わずかに瞳が揺れている。


迷惑をかけてすまない。」


何かを堪えるような、絞り出すような声だった。


酒が尽きたらしい左近はそれをつまらなそうに聞いた。


「為すべきことを考えろ。」


そう言って横になり、背を向けた。