ある瞬間、唐突に。もしくは彼がそばにいない寂しさを抱えた事に気づいて。彼を欲しいと自覚する。
彼が私に触れて心地良いと感じてくれる事を願う事。そんな願いを持てた喜び。
私を欲しがってと願う祈り、私の体は勝手に表現を始める。願いを彼に知られるのはとても恥ずかしい。けれど、私に触れて欲しいと彼に願いを伝えられる喜び。ワクワクして体が熱くなる。
二人の願いを同時に受け止める。全てが重なって喜び合える。愛し合う事が始まる。それは呼吸する余裕もなくなるほど大きな幸せ。
もっともっと幸せを感じたくて、彼の心の奥で望むものを写したくなる。体に触れると彼が何を望んでいるのか、息遣いでわかる感覚。それは彼も一緒。
二人の願いが叶えられる。交わるのは体だけじゃないんだ。満たし合える、全てを受け取り合う喜び。その喜びを一緒に味わえる幸せ。とてもとても神秘的で尊い。
恥ずかしさの奥にある深い安堵まで、全てを知っている彼の存在は愛と同義語。彼の名前を呼ぶ時、愛が繋がる。彼が私を包む時、自分の愛がさらに広がる感じがする。どこまでも果てしなく自分がある感じ。
私がここにいる理由は彼が気づかせてくれた。彼だったから分かった事。充たされる感覚を味わいたくてヒトになった、そんな記憶を呼び覚ます私の体。それを感じさせた彼の体。体があるから感じられる。私が産まれる前にしたかった1つの事を味わった。それは幸せな体験。
全ての事はこの感覚に繋がる為に合った。なんて愛しい傷跡なんだろう。深く真剣に悩んだ事もその環境も全てこれを経験する為に用意した計画なのかと、産まれる前の自分に尋ねてみたくなる。後々、この体が終わる時にきっとわかる。