TPP参加問題(その3)
TPP参加が日本経済へ与える影響は、正直に言えば、成長(強い)分野に有利ということだ。
農林水産業の場合、政府試算(平成22年度)によれば、生産額は毎年4.5兆円も減少する。
また、全産業(GDP)でみると2.7兆円の増加で、金額では、その効果が少ないようにみえる。
環太平洋発展途上参加国の多くは、日本などの先進参加国に追いつくために日々努力している。
今後の日本は、現状の経済力を維持することも、急速な少子高齢化によって難しくなるだろう。
もともと、日本の場合、生産額の増加なんて、最初から期待できない経済情勢にあるのだ。
参加によって、国益を守りながら、得意分野で国富を増やす政策が、ますます重要になる。
政府は、農林水産業も、聖域を守るだけでなく、成長戦略を考えて、TPPに備えるとのこと。
他方、食の安全、医療保険など、国民生活のために死守かつ強化すべき制度も多い。
競争条件の平等がTPPの原則だが、国民経済との調和について、各国固有の事情は多様だ。
参加国同士が、それぞれの経済について相互協調できるよう交渉できるかが重要になる。
日本がTPPに参加した場合、経済規模を考えれば、成長分野を中心に、米国との交渉が主軸であって、
あくまでも米国と環太平洋の国々との現状における交渉結果に、簡単に屈する必要はないのである。
もちろん、成長する国々との人件費は縮小することは必然で、いっそうのデフレ進行を抑制するべく、
日本のみならず先進国の通貨安政策は継続することになるだろう。
また、参加国間の往来が自由になれば、コンパクトに資本の集積した日本の国土が有利になる。
ということで、日本国内の道路港湾や通信など、規制緩和と国際競争力を強化する必要がある。
TPP参加問題(その2)
日本のTPP参加表明まで、あとわずかとのこと。
なぜか、反対団体の示威行動が思ったよりも少ない。
参加国はすでに16回も交渉を重ねており、日本は早く参加しないと国益が守れなくなる。
そのあたりが政治力で、政府与党内で合意形成されたのだろうか。
波乱も予想されるが、いまのところは、政府を信頼するということかもしれない。
民主政権では、党内で長時間の議論を重ねても、結局何も決まらないばかりか、
その経済メリットの政府試算が省ごとに異なり、国民もどうしてよいか混乱が目立った。
政治の重要なことは、政策方針を明確に示して、国民が行動しやすくすることだ。
安倍政権は、いわゆるアベノミックスで経済政策を自信をもって大胆に転換した。
その期待感から、株価も堅調で、最近の内閣支持率も7割を超えている。
その政策は、前向きのもので、原発問題や震災復興など負の処理が隠れてしまう。
TPP参加表明についても、年初から政府内の経済戦略会議などで議論され、
関係省庁にも調整して計画とおりに進んでいるのだろう。
国民から信頼され、支持率の高い政府だからこそ、重要政策も実現できる。
TPPに参加する場合、必ず国民の利益になるよう、成長戦略を確実に実行するしかない。
そして、貿易立国である日本の国民は、能力と国力を信じて、懸命に働くしないだろう。