平凡だけど特別な。 -26ページ目

草原の泣き虫たちの教え。

1998年秋。
私がプレーリードッグという存在を知った時。

彼らはとても恐いイメージだった。

どうして恐かったのかと言えば、友人の彼が友人が飼っていた
プレーリードッグに噛みつかれて大きな傷を負ってしまったからだ。

それが理由で、オレオという女のコプレがうちにやってくることになった。

オレオという名前で、いつも男のコに間違われるオレオちゃん。

見た目でも男のコ女のコと違いがあまりわからないし。

飼い方も知らなかった無知な私。

恐る恐る接する日々。

ちょうどインターネットをするようになった頃だった。

プレーリードッグで検索しまくり、少しづつ知識を仕入れ
同じプレ飼いのお友達も少しだけ出来てきた。

プレの知識とは言っても、プレーリードッグという生き物は
獣医学的にはまだ未知の生物の域だった。

だから、飼い主同士で情報を交換して「あれがいい」「これがいい」
試行錯誤の繰り返し。

良かったことも悪かったこともあった。

ただ思ったのは、「思い込みすぎてはいけない」ということ。

誰かが「良い」と言ったことが、本当に良いのかどうか。
インターネットという世界は良くも悪くも誰の保証もない世界だ。

全ての責任は自分自身にある。

インターネットで仕入れた情報を、実行するもしないも
したあげくどうなっても、その責任は自分自身にしかない。

だけど、誰かが保証してくれているように勘違いしてしまう人もいた。

発した言葉は解釈が捻じ曲げられ伝えられていくことも多かった。


一時期、乳酸菌を含んだおやつがブームになったことがあった。
今でもいろんな店頭には乳酸菌を含んだおやつというのはたくさんあるだろう。

だけど、確かに乳酸菌を「含んで」いるのかもしれないけど、おやつとして
売られるそれらの品物は、人間でいえば「お菓子」と同等。

砂糖の固まりみたいなものだ。

だから、私はお腹を壊しているコにその「乳酸菌のおやつ」をあげるのは
反対した。

あげるのであれば体調の良い時に、通常のおやつとして1,2粒をあげる程度に
留めるべきだと思った。

お腹を壊しているのであれば、病院で処方される整腸剤もしくは薬局で売ってる
ビオフェルミンをあげるほうがよっぽど有効であると思っていた。

うちにましろというプレが来たばかりの頃、腸の細菌状態がよくなかったが
病院と相談し、毎日ビオフェルミンを1,2粒づつあげ続けて1ヶ月後
状態が改善されていたという事実もあった。

悪玉菌と呼ばれるものは、「糖」を好む。

悪玉菌が増えている状態で砂糖の固まりをあたえたら、その菌が増殖し
さらによくない状態を引き起こす。

だからこそ「反対」したのだ。

でも、いつしか言葉は捻じ曲がり、私は「乳酸菌」そのものを否定していると
言われてしまったことがある。

乳酸菌にしてもそうだが、サプリメント類については、自然治癒力を
弱めてしまうのではないかという懸念から、私はあまり普段使いすることに
賛成するほうではない。

お腹を壊している時に乳酸菌が有効であるとか、何らかの病気で必要なものが
欠けてしまっているとか多量に摂取が必要であるというのなら話しは別だが
ドッグフードにもそういったものが添加されていることもあるので
下手すれば過剰摂取になってしまう恐れがある。
単体で摂取することの意味がないものもある。

さらに、本来、体内で必要量作られるものを外から大量に摂取したら
逆に体内で作る必要がなくなり、その機能自体が衰えてしまったりは
しないのだろうか?

「良い」と言われても、与える前にまず考えてみる。

うちのコに、今、それらは本当に必要なのかどうか?



プレーリードッグのオレオが来てから、私は考えさせられることが多くなった。

それまでは犬ばかり飼っていて、犬というのは歴史も長く、ある程度の飼い方と
いうものは、祖母でも父でも知っている。

だけど「プレーリードッグってどう飼えばいい?」と問うた時、私の周りには
誰もそれを答えられる人はいなかった。

インターネットの情報はあくまでも「参考情報」である。

それらのかき集めた情報から、何をどう取り入れるかは自分自身の領域である。

考えた末の結果がどうであろうとも、「自分自身で考えること」

プレーリードッグという存在が教えてくれた一番大切なことだ。

奇跡も後悔も、その先にしかない。



一時期はたくさんたくさん広がった輪も、その後成り行きで淘汰されて
今は極限られた方々としかお付き合いはなくなってしまった。

でも、狭くなってしまった輪でも、そこからさらに深いお付き合いが
出来ていることは、自分自身にとってはよかったことだと思ってる。

なかなか懐いてくれなかったオレオに、その冬、ましろという家族を迎えた。

翌年の春、たいちとひなたという仔プレペアを迎え、プレたちは群れを作った。

ひなたを亡くし、ぴのこを里子で迎え、今はその4名が我が家で暮らす。

最初にオレオに会った年から、7回目の春をこれから迎えようとしている。

オレオは、途中、頬に膿瘍が溜まる症状が出て、何度も皮膚を切り裂いて
膿を出す処置をした。

目玉が飛び出してきた時は、正直もうだめかもと泣きそうになったが
表面上は完治して、今は元気に暮らしている。

どんなに頑張ってもあと5年生きれる保証はどこにもない。
限りある命を生きるものの宿命で、必ずいつか終わりは来る。

輸入禁止になったことから、国内繁殖プレの価格は高騰している。

タブン、私はこのコたちを亡くしたら、もうプレと生活することは出来ないだろう。

だけど、出会えて良かった。

出来るなら5年以上、生きてみせてよね!