慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において

 

ライラトゥ・ル=カドルについて

 

ラマダーン月の最後の10日間のうちの一日の夜に威光の夜(ライラトゥ・ル=カドル)はあると言われています。ライラトゥ・ル=カドルの言葉としての意味は、栄誉な夜、偉大な夜、定めの夜です。

では、このライラトゥ・ル=カドルとは具体的にどのような夜なのでしょうか?

 

 

<ライラトゥ・ル=カドルの徳>

①    アッラーがこの夜に、現世と来世における導きと幸福をもたらす、クルアーンを下された。

②    その夜は、千月よりも優る。

【本当にわれは、威光の夜(ライラトゥ・ル=カドル)に、この(クルアーン)を下した。威光の夜(ライラトゥ・ル=カドル)がなんであるかを、あなたに理解させるものは何か。威光の夜(ライラトゥ・ル=カドル)は、千月よりも優る。(その夜)天使たちと聖霊(天使ジブリール様)は、主の許しのもとに、すべての神命をもたらして下る。暁の明けるまで、(それは)平安である。】(クルアーン97章)

③    その夜は、天使たちが下りてくる。

天使たちはいつも良いこと、祝福、慈悲をたずさえて下りてくる。そして、天使たちは崇拝行為にいそしむ者のそばにいてくださる。

④    その夜は、アッラーの罰からの安寧が多い。

⑤    アッラーは、この夜の徳をたたえ、最後の審判の日まで読まれる、一章を丸々下された。

 

 

<ライラトゥ・ル=カドルに関するクルアーンとハディース>

【(事物を)明瞭にする、この啓典にかけて(誓う)。本当にわれは、祝福された夜、これを下して、(悪に対して不断に)警告を与え(ようとす)るものである。その(夜)には、英知についてすべてのことが明確にされる。わが許からの命令である。本当にわれがいつも使徒を遣わすのは、あなたの主からの慈悲である。本当に彼は全聴にして全知であられ、天と地、そしてその間のすべてのものの主である。もしあなたがた(の信仰)が確かならば。かれのほかに神はなく、生を授け死を授けられる。あなた方の主、またあなた方の祖先の主であられる。】(クルアーン44煙霧章:2-8節)

 

本当にわれは、威光の夜(ライラトゥ・ル=カドル)に、この(クルアーン)を下した。威光の夜(ライラトゥ・ル=カドル)がなんであるかを、あなたに理解させるものは何か。威光の夜(ライラトゥ・ル=カドル)は、千月よりも優る。(その夜)天使たちと聖霊(天使ジブリール様)は、主の許しのもとに、すべての神命をもたらして下る。暁の明けるまで、(それは)平安である。】(クルアーン97みいつ章:1-5節)

 

・アブ―フライラ様(彼の上にアッラーのご満悦あれ)の伝承によるハディース

≪ライラトゥ・ル=カドルに、信じて、褒賞を願って礼拝をする者は、それ以前に犯した罪が赦されます。≫アル=ブハーリーとムスリムより

・ライラトゥ・ル=カドルは、ラマダーンにある。【ラマダーンの月こそはクルアーンが下された月である】(クルアーン2雌牛章:185節)

 

・ライラトゥ・ル=カドルは、ラマダーン月の最後の十日にある。≪ラマダーンの最後の十日にライラトゥ・ル=カドルを探しなさい。≫アル=ブハーリーとムスリム、

≪ラマダーンの最後の十日の奇数日に、ライラトゥ・ル=カドルを探しなさい。≫アル=ブハーリー
 

 

 

では、ライラトゥ・ル=カドルのときにはどのようなことをするのが良いのでしょうか?

自分の変換点、アッラーへのフスヌ・ッ=ザンヌ(常に良くしてくださると期待すること)、ライラトゥ・ル=カドルを与えてくださいとのドアー、悔悟(タウバ)、お赦しを乞う、アッラーのよろこばれる事をするなどが挙げられます。

 

ライラトゥ・ル=カドルのドアー

『اللَّهُمَّ إِنَّكَ عَفُوٌّ تُحِبُّ الْعَفْوَ فَاعْفُ عَنِّا

アッラーフンマ インナカ アフゥウン トゥヒッブルアフワ ファアフアンニー』(アッラーよ、本当にあなたは沢山お赦しになるお方で、赦すことを好まれます、だから私を赦してください)

ラマダーン中に言うと良いドゥアー

『أشْهَدُ أن لا إلهَ إلا الله أسْتَغْفِرُ الله نسأَلُكَ الجنَّةَ ونَعُوذُ بِكَ مِنْ النَّار

アシュハドアッラーイラーハイッラッラー、アスタグフィルッラー、アスアルカルジャンナ、ワアウーズビカミナンナール』(アッラー以外に神はいないと証言します、アッラーに赦しを請います、あなたに天国をお願いします、そしてあなたに地獄からの庇護を求めます。)

前者のドゥアーはライラトゥ・ル=カドルに言うとよいドゥアーですが、いつがライラトゥ・ル=カドルかは諸説あり、ラマダーン月のいつでもありうるという学者もいるので、最後の十日間の奇数日に限らず、一カ月中たくさん言うと良いとされています。イスラーム共同体全員(死者も含め)のためのドゥアーも忘れずに行いましょう。

 

ライラトゥ・ル=カドルの夜にはイァティカーフ(お籠り(おこもり))を行い、礼拝やクルアーン朗読などイバーダ(崇拝行為)に励みましょう。モスクではなく家で行う場合でもイァティカーフ(お籠り(おこもり))のニーヤ(意図)を持つことが良いとされています。

夜は、夜の義務の礼拝(イシャー)の他にラマダーン月の任意の特別礼拝(タラーウィーフ)、夜間勤行の礼拝(タハッジュド)やサラート・ッ=タスビーフを行うことも良いとされています。

※サラート・ッ=タスビーフの礼拝は、ライラトゥ・ル=カドルの礼拝というわけではなく、昼間でも普段でもいつでも、礼拝が可能な時間帯ならできます。また、ハディースでは、1日1回、又は1週間に1回、又は1カ月に1回、又は1年に1回、又は一生に1回でもやった方が良いとされ、全ての罪が消されると言われています。タハッジュドの礼拝も同様に、深夜の礼拝としてライラトゥ・ル=カドルのとき以外でも行えます。ただ、ラマダーンの後半は、イヒヤーゥ(夜の多くを崇拝行為で過ごす事)をモスクでする場合時間が沢山あるので、この礼拝を皆でやる事が多いです。ライラトゥ・ル=カドルのときはご褒美が大きいので、これらの礼拝をやるのが良いかもしれません。

 

<サラート・ッ=タスビーのやり方>

1.初めに、4ラカーのサラート・ッ=タスビーフを行うというニーヤをする。

2.「アッラーフアクバル」と唱え、手を耳の高さ(女性は肩)まで挙げ、胸の前で手を組み、サナーゥを読む。

3.次に、『★スブハーナッラーヒ ワルハムドゥリッラーヒ ワラーイラーハイッラッラーフ ワッラーフアクバル』と15回唱える。

4.次に、アル=ファーティハ(開端章)とクルアーンのいずれか一つの章を読み、★を10回読む。

5.「アッラーフアクバル」とルクーゥ(おじぎ)の姿勢になり、通常の礼拝と同じようにズィクルを唱えたあと、★を10回読む。

6.ルクーゥ(おじぎ)から起き上がり、直立の姿勢でズィクルを唱えたあと、★を10回読む。

7.サジダ(平伏礼)をし、サジダでのズィクルを唱えたあと、★を10回読む。

8.サジダ(平伏礼)から正座の姿勢になり、★を10回読む。

9.もう一度サジダ(平伏礼)をし、ズィクルを唱えたあと、★を10回読む。

 

10.      立ち上がり、3~9を繰り返す。2ラカー目と4ラカー目はサジダからすぐに立ち上がらず、通常の礼拝と同じように正座の姿勢でタシャッフドを読み、4ラカー目ではそのまま礼拝を終える。

1ラカーで75回★のズィクルを唱えることになり、全部で300回ズィクル言う。

 

※学派によっては、4.の★を10回読まずに、2回目のサジダ(平伏礼)をした後座った状態で★を10回読んでから立ち上がることもあります。どちらも正しいやり方です。
また、どちらのやり方でも、「2ラクアでサラームをするx2(4ラカーまとめずに2ラカーずつ礼拝する)」のやり方と、「4ラクアで最後にサラームをする(一気に4ラカーやる)」やり方があります。

 

又、サダカも簡単にできるイバーダとして良いと思います。最後の10日間、昼と夜に1回ずつ毎日10円ずつでもいいからサダカをすれば、必ずライラトゥ・ル=カドルに当たりますね、インシャーアッラー。サダカは、夜にあげる相手がいなければ、サダカボックスを作り、そこに入れて、集まったお金を必ずどこかにサダカをする(他のことに使ったり貸し借りを絶対にしない)のであれば、それでも可能です。

 

インシャーアッラー、自分たちでできる崇拝行為をたくさんしましょう。

 

すべてのムスリムがラマダーン月を有意義に過ごせ、ライラトゥ・ル=カドルの夜を見つけることができますように。アーミーン。