◎最終講義 ~文章を作った後で~
○文書書いた後で、こんなことを考えてみる。社会出て活動するにあたり、文章って何か考える。
「価値のある文章」をつくるために。
◎「価値のある文章」…この講座は「文章の作りかた」についてだった。「文章の書き方」「文の書き方」の講座ではない。内容・ミッションなどをもって文を書く技法以外もいろいろやってきた。
文章とは、結局は「情報」に結び付くもの。つまり情報の生産。今までやってたのは、実は情報を生み出すことが前提にあったから。書いておしまいではない。他人がそれを読み、その情報を重宝されたり価値があると感じてくれたりするもの。
情報の価値といった点を意識すること。
どんなとこに価値がある?
①ⅰ・芸術的価値…読み手に美を感じる。小説、エッセイなど、文自体が美しさを持つ。この講座の扱うべきところのものではなかったが、ハードルが高い。
ⅱ・娯楽性…読み手を楽しませる。「おもしろいな」って思わせる。全ての文に当てはまる。ユーモアとかも「おもしろさ」の一つだが、「興味深さ」も「おもしろい」の大切な要素。芸術性よりもハードルは低いが、難しい。
ⅲ・有用性…この講座で意識してたこと。読み手に有用性をもたらす。「うん、なるほど」と思わせるものがある文を書く。学生の書くレポートとかも基本的にこれを目指してる。有用な情報を含んだ、役に立つ文章。
②有用な情報であるための条件
ⅰ・共有可能であること…大前提。万人に、って訳ではないが、ある程度理解出来る人いなきゃだめ。自分一人で書いて楽しんでるだけの文章じゃ意味なし。
ⅱ・新規性…新しさ。文章の持つ情報が、何かしらの意味で新しくないと。少なくとも読者の中に知らん人がいるくらいでないとダメ。難しいが目指さなくてはダメ。文章自体が発明品。新しい視点。例えばSFCの学生について調査して、「みんなバイトが忙しいことがわかりました」とか書いても皆知ってるからおもんない。「こんなことが発見できました!」と書いて「へぇ」っておもわれなダメ。
ⅲ・独自性…オリジナリティ。新規性とも被るけど、他の人が取り上げんようなテーマとか。SFCの生活の調査でも、誰も挙げないようなテーマをあげたりする。その人なりの視点。
ⅳ・読み手のコミュニティーに対する貢献…すごく大事。文章とは、その文章のみで成り立つのみでない。文章が存在するだけでは何の意味がない。その価値を、どうやって人は見なすか。それは読者が少なくとも一人ではダメ。最低二人の読者が存在して、お互いに話し合われなくちゃダメ。複数の読者がいて、そのコミュニティに対して何らかの貢献をすることが重要。学術論文の場合、教授が一人で発見しても意味ない。世間が何故学者に金払うかいうたら、その学者の発見が世間に対して何らかの貢献がある、と見込んでくれているから。小さい規模でも、人をなんらかにして楽しませる、人を集まらせるといったことがないとダメ。ポイント。読み手が一人でも、そのコミュニティーを代表する人であると解釈。
☆☆独自性を推しすぎると、共有、コミュニティ面が浅まってしまう落とし穴がある。それは、ミッションがあるかどうか、ということ。
ミッションがあれば、一人語を避けやすくなる。私はこの文を通じてこんなことを言いたい、この文を通じてこんなことを考えて欲しい、こんな見方どうですか…そういうことをミッションの時点でしっかりと練る。
③価値のある文章を作るための絶対的な原則
ⅰ・文章の価値は、読み手が決めること。いくら読者が頑張って書いても、伝わらなければ無。読み手が全て正しい。書き手は「誤解」という言葉を使ってはいけない。伝えられない自分の力が問題ある。伝わらなければ無意味。書き手がそう、といえばそうなる。これを意識。
ⅱ・ 情報の伝達は保障されない。努力目標のみ。文章交換しても、相手が何を考えてるかは頭割るしかない。絶対相手が何を読み取ったかは不明。情報の伝達は、いくら巧く書いても「誤解」されてしまうかもしれん。文書自体に価値はない。文書を読み取った読み手の頭の中に価値がある。そう思われたらそうなる。言葉を使うコミュニケーション自体が全てそうやが、文字の形になる文章はこれが多い。記憶の中でリリースされたり変換されたりしたら、そうなる。
ⅲ・読み手が価値をみとめた文章こそ価値のある文章。書き手が「ええこと書いたな、いっぱいメッセージ入れたな」で満足してもダメ。コントロールは難しい。
ⅳ・有用な文章になるための条件を意識して書けば、とりあえずある程度は伝わる筈。ミッション。
☆文章は危ういもの。とにかくミッションを練ること。