◎最終講義 ~文章を作った後で~

 ○文書書いた後で、こんなことを考えてみる。社会出て活動するにあたり、文章って何か考える。

 「価値のある文章」をつくるために。

◎「価値のある文章」…この講座は「文章の作りかた」についてだった。「文章の書き方」「文の書き方」の講座ではない。内容・ミッションなどをもって文を書く技法以外もいろいろやってきた。

 文章とは、結局は「情報」に結び付くもの。つまり情報の生産。今までやってたのは、実は情報を生み出すことが前提にあったから。書いておしまいではない。他人がそれを読み、その情報を重宝されたり価値があると感じてくれたりするもの。

情報の価値といった点を意識すること。

どんなとこに価値がある?

 ①ⅰ・芸術的価値…読み手に美を感じる。小説、エッセイなど、文自体が美しさを持つ。この講座の扱うべきところのものではなかったが、ハードルが高い。

   ⅱ・娯楽性…読み手を楽しませる。「おもしろいな」って思わせる。全ての文に当てはまる。ユーモアとかも「おもしろさ」の一つだが、「興味深さ」も「おもしろい」の大切な要素。芸術性よりもハードルは低いが、難しい。

   ⅲ・有用性…この講座で意識してたこと。読み手に有用性をもたらす。「うん、なるほど」と思わせるものがある文を書く。学生の書くレポートとかも基本的にこれを目指してる。有用な情報を含んだ、役に立つ文章。


 ②有用な情報であるための条件

   ⅰ・共有可能であること…大前提。万人に、って訳ではないが、ある程度理解出来る人いなきゃだめ。自分一人で書いて楽しんでるだけの文章じゃ意味なし。

   ⅱ・新規性…新しさ。文章の持つ情報が、何かしらの意味で新しくないと。少なくとも読者の中に知らん人がいるくらいでないとダメ。難しいが目指さなくてはダメ。文章自体が発明品。新しい視点。例えばSFCの学生について調査して、「みんなバイトが忙しいことがわかりました」とか書いても皆知ってるからおもんない。「こんなことが発見できました!」と書いて「へぇ」っておもわれなダメ。

   ⅲ・独自性…オリジナリティ。新規性とも被るけど、他の人が取り上げんようなテーマとか。SFCの生活の調査でも、誰も挙げないようなテーマをあげたりする。その人なりの視点。

   ⅳ・読み手のコミュニティーに対する貢献…すごく大事。文章とは、その文章のみで成り立つのみでない。文章が存在するだけでは何の意味がない。その価値を、どうやって人は見なすか。それは読者が少なくとも一人ではダメ。最低二人の読者が存在して、お互いに話し合われなくちゃダメ。複数の読者がいて、そのコミュニティに対して何らかの貢献をすることが重要。学術論文の場合、教授が一人で発見しても意味ない。世間が何故学者に金払うかいうたら、その学者の発見が世間に対して何らかの貢献がある、と見込んでくれているから。小さい規模でも、人をなんらかにして楽しませる、人を集まらせるといったことがないとダメ。ポイント。読み手が一人でも、そのコミュニティーを代表する人であると解釈。


 ☆☆独自性を推しすぎると、共有、コミュニティ面が浅まってしまう落とし穴がある。それは、ミッションがあるかどうか、ということ。

 ミッションがあれば、一人語を避けやすくなる。私はこの文を通じてこんなことを言いたい、この文を通じてこんなことを考えて欲しい、こんな見方どうですか…そういうことをミッションの時点でしっかりと練る。


 ③価値のある文章を作るための絶対的な原則


   ⅰ・文章の価値は、読み手が決めること。いくら読者が頑張って書いても、伝わらなければ無。読み手が全て正しい。書き手は「誤解」という言葉を使ってはいけない。伝えられない自分の力が問題ある。伝わらなければ無意味。書き手がそう、といえばそうなる。これを意識。

   ⅱ・ 情報の伝達は保障されない。努力目標のみ。文章交換しても、相手が何を考えてるかは頭割るしかない。絶対相手が何を読み取ったかは不明。情報の伝達は、いくら巧く書いても「誤解」されてしまうかもしれん。文書自体に価値はない。文書を読み取った読み手の頭の中に価値がある。そう思われたらそうなる。言葉を使うコミュニケーション自体が全てそうやが、文字の形になる文章はこれが多い。記憶の中でリリースされたり変換されたりしたら、そうなる。

   ⅲ・読み手が価値をみとめた文章こそ価値のある文章。書き手が「ええこと書いたな、いっぱいメッセージ入れたな」で満足してもダメ。コントロールは難しい。

   ⅳ・有用な文章になるための条件を意識して書けば、とりあえずある程度は伝わる筈。ミッション。


☆文章は危ういもの。とにかくミッションを練ること。

 

○本日第二項の提出

 任意だがスケジュール的に今日提出して最終稿が間に合うかどうかなので、出来るだけ提出。


○本日の講義…技術よりも、まとめのようなことをしてゆく。


◎執筆計画について(アップ資料あり)

 先生の論文作りはったうえでの研究。メディアリタラシー。メディアの読み書き能力の教育。 

①ミッション

 例)この論文によって「博士学士取得」の資格を手に入れる必要あり。そのためには~をどうする、と定義。

  ミッションは解りやすければ解りやすいほどいい。目的を定め、条件を定める。


②状況分析

 ○プロダクション→ミッション、状況の分析、

  ●自分が今どんな状態にあるか、これ以降の作業の見通しを書いてゆくもの。そしてこの後KJ法で内容つくる。

  ●要求分析とは?→ものづくりの世界に入ったら耳にする。相手側、受け取り側は何を求めているか、という条件を分析。

  ●テーマの分類や分量、期日など客観的に文章の条件の要求を整理してゆく

  ●読み手に対しても条件を推測しておく。読み手の特性、専門性を認識しておく。大学のレポートレベルではあまり経験出来ないが。推測も含めて、明確な証拠がないと納得しない理科系の先生かな、とか。文科系の先生なら状況も変わる。年齢とかも書き出す。

  ●要求の文脈→どんな脈絡で、この文章を書かなければならない?これも再確認。こんなことでも書き出すことで客観化出来る。実は大事。誰が要求者、というのも確認。間柄とかも書き出して、そのスタイルを見越してゆく。論文を要求するのは読者だが、自分の「博士学士取得」って目的を満たす存在でもある。

  ●学会の質を維持するような論文を出す必要もある。学会のアイデンティティを守る。これは読者(教授)が決めることで、書き手が決めることではないが、それ故読者が発表できるもの書く必要あり。先生の立場で考えてこんなん書けばあの人も単位出し安いだろう、と。

  ●情報教育として向こうも売り物にしたい。そのレベルにまで達するものを書く必要あり。



◎文章とは、誰かしら必ず要求者がいる。ブログで勝手に書いてるのではない。必ず読者に出す必要がある。当たり前やがこれは絶対確認せなアカン。仕事では特に、誰が、どんな要求をしているのか考えながら書く事は非常に大事。



 ②自己分析

A・●自分のことを改めて確認。大事。

  ●テーマに関する自分の習熟度。建て前上は100%なるまで書いてはダメだが、稀。書いてから必要なものとかわかってくる。「ここが弱いな」「ここはいいな」…改めて一回確認することを推奨。

  ●調査の必要性。これも建て前上調査してからだが、稀。仕事上でもデータ集めながら文章を作り出してゆく。

  ●資料へのアクセス…インターネットと大学図書館が中心。関連文献については手元にあるものを中心に参照。

  ●生産手段の確認…自宅マックとプリンター。プリンターの問題は特に気をつける必要あり。締め切り直前のプリンターは、壊れる。皆メチャメチャアクセスしてるから、紙詰まりとか普通にある。プリンターの確保は、必須。

  ●時間…一個の文書に掛けられる時間は決まっているし、ある程度予測はつくもの。


B・●自己の欲求…自分自身が何をしたいか、何が要求されているかのせめぎあい。全てを要求にこたえるだけの文章は、辛い。自分が何を書いていきたいか、最低限この主張は外せないか、という点を洗っておく。

  ●この論文を書くことによって、論文を書くスタイルをつくってみよう、という欲求が先生にあった。その意図もあった。ゆわれるままに一個一個書いてる間は気づかないが、何度も書いてると、何らかの方法論が浮かんでくる。これはディスカッションを求めてるからこうやって書けばいい、とか、これはイエス・ノーを求めてる文章なんだ、とか。意識して書いてゆくと解ってくる。

  ●レポート出してから、読み返してみること。読み替えさな勿体無い。生かす。スタイル、つくり方、このレポートのスタイルを基にして次のものもつくってみよう、とか再利用できる。

  ●期待される成果。名刺代わりになる論文がほしい。指導教官を納得させる、など。


○ここまでの分析にもとずいて、作業課題を。

○作業課題1:全てのデータを整理

 ①データ整理。

 ②データを見て気づいた点をリストアップ。

 ③それらのデータから何を主張できるか整理。

 ④データの使い方を確定したうえで、それにしたがってデータに分類を施す。



◎書き出すこととは何か?→書き出すこととは、すなわち客観化すること。わかってることほど、確認しない。計画的に物事をつくる際、客観化することが非常に大事。客観化することではじめて見える穴があるし、確信につながるところもある。「改めて俺はこういうことをやろうとしているんだ」こういったことしないと暗中模索、頭の中ではわかってるけど、なんかもにゃもにゃして先に進まない、ってことも多々ある。


来週は、出てきたものに対する評価。


  

○文章の内容に関して、新しさやユニークさも大事だが(新規性、独自性)、「信頼性」が最も大事!

○信頼性を出すには、事実と意見を混合してはならない。書き分けること!

○アップ資料に定義やらあり。参照。

★引用の仕方・引用の出所の明かし方は自分で調べてみること。それだけ大事。

○意見なのに「~である」とかダメ。「~に違いない」とかにする。


意見


○理論…進化論は事実でない。ある程度裏づけされてるけど証拠がない。よって意見。法則までいくと事実になるが(誰もが認める)…


★自分で判断するのが難しいが、自分が事実と思っている多くのものは「意見」に過ぎないことを留意しておく。


◎事実を書く点の留意

 ①誰の意見なのかを明示すること。これはチェックされる。

 ②自分の意見は出来るだけ明確に、ぼかさずに書く。しっかり「私はこう思う」と書くことが、信頼性に関わる。

 ③意見の根拠もしっかり書く。意見の信頼性とは、意見の裏づけがどれだけ書かれているかにより決まる。言いっぱなしはダメ。ちゃんと裏づけを探す。リサーチ不足。


 



◎これからのスケジュール(あと四回)

 12/11  

12/18    この三回は評価について

1/15     15日は第二稿を提出。採点対象ではないが、リライトをよく理解するために。


1/22     最後にまとめ。最終稿も出す。


◎プロダクション(中身・KJ法とかの)→プレゼンテーション(人に見せる=執筆)→エバリュエション(評価)

 今日からの四回はエバリュエションをする。これは仕上げのこと。作成された文章を、最初のミッションに従って書けたか、人に伝わったか等の見直しすること。


 ○評価とは?

  評価とは、これから改善することを前提にポイントを洗い出す作業のこと。

  その際大事なのが、ある特定の基準から見た対象(文章)の価値(でき・ふでき 満たしている・満たしていない)を判断・判定する作業、という点を意識すること。基準を自分でしっかりと持つこと。

         ↓

 ★気づいたことをアトランダムになおしてゆく作業のことではない!!

 

 ○文章の内容に関して、文章に形式に関してチェックしてゆく。

 ★究極的にはミッションを再現できるかどうか!?

⑤重文・複文の扱い。

 単文…彼は明日休暇を取る。  …問題なし。主語一つに述語一つ。

     私はカルボナーラを食べてエスプレッソを飲んだ。  …問題ないけど、述語二つある。

 重文…左脳は論理的な推論に関与し、右脳は直接的な判断に関与する。  …主語が二つに、それぞれに述語も対等に接続。

 複文…セロニアス・モンクは、彼が好んで聴いたピアニストである。  …主語は「セロニアス・モンク」と「彼」。述語は「聴いた」と「である」→「モンクはピアニストである」「彼は聴いた」。主語二つに述語二つだけど、対等に接続されてない。独立してない。「彼が聴いた」は「モンクはピアニストである」の修飾語であり、メインでない。対等でない役割でない文が入っているのが複文。

 この三つは区別できるようになり、そしてこれらを書くときは注意すること。そして出来ることならば、重文はあまり書かないこと。重文は短くない。誤りが増えるし、読み手に負担も負わせることとなる。完璧な単文だけで論文書くのも無理だけど…

 ★アップ資料の「平安時代には~」の文は重文のオンパレード。これは別に切ってもいい!!ついつい勢いで書いてしまうけれど、切って何の問題ないなら、切る!!!「が」という一文字は重文に使い勝手がいいが、読み手は意味を取り辛くなる。順接でも逆接でもとれてしまうから、読み手に文脈で判断させることえを強要してしまう!!!


 ★注意深くやってないと「が」は必ず入ってしまう。


 ○論点(、)の位置の問題


 意味のあるところで、をつけること。意味が解りやすいようにつけること。


 ○「しかし~である」の次に「しかし~」で始めてしまうのはよくある間違い。


 ○ひらがな、カタカナ、漢字の選択。


 ~と言う。→喋る動作を含む

 ~という。→まわりがそんなこといってる、伝聞、決まりごと的なニュアンス。

 細かいことは考えなくてもいいけど、きちんと統一はしておく!何らかの基準を決めて統一すること。



★以上は、文を書いた後で確認すること。書く前に見るのもいいけど、それよりも見直し時に見る。


★大原則は、文を短く短くしていくこと!誤りを減らし、読み手への負担を減らす。そうすれば結構上記の間違いは減らせる。


★先週のパラグラフを大事に。一つのパラグラフで一つのことを言う。


after

第一稿提出後でもいいので、自分の文章をグループ内で読んでもらうこと。グループ内でキツイ時は、ブログにアップすること。


☆課題提出について


クラスのホームページにログインして、(ゲストで入っても提出不可!)11日までにアップする。

ファイル名は、半角英数で!!「report.doc」とかで出すこと。期限までに一度出して、期限内にもう一度出しなおすことは出来るので、心配なら完成度が低くても一度アップすれば提出漏れは防げる。文字数はA4で5,6枚くらいあればいい。

●文の書き方


  ○第一の目標…読み手に理解されること。感動させたり唸らせるのはそれが出来てから!

                ↓

  ○理解されやすいための条件…短い文であること!!これに集約。いかに短い文を書くか


  ○文が短いメリット…構造が単純になる。つまり書き手の誤り、読み手の負担が減少する。

  何を盛り込むか、というコントロールがやりやすくなる。


 ◎補足

 ①文の構成要素と構造

  ○日本語を外国語のように扱ってみる。つまり使いこなせると過信しない。外国語使うときのように考える。


  ○英文の五つの構造…SV、SVC、SVO,SVOO,SVCCの五つ。これの訳文を考える。

   つまり主語は~である、主語は~を~する、といった訳文。これらは非常に不器用なんだけど、内容を余すところなく伝えることができる。特に日本語は助詞の「に、を、へ、が」がややこしくてそれにより破綻することもあるが、五つの文型に合わせて書くことで、不器用ながら間違いのない文章が書くことが出来る。


 ②日本語は語順が柔軟である

  ○私はその説が正しいと考える。

   私が正しいと考えるのはその説だ。

   といった風に、主語や述語が柔軟に入れ替えられる。しかも主語も省略できたりもする。

   それ故流暢な文を書くことが出来るのだが、英語ほどパキッパキッと固めていくことが出来ない。

   これは十分注意すべき点である。恐いときはまず①のように文型に合わせて書く練習から始めること!必ず主語や述語をあわせることを要求されるから。


 ③主語と述語が一致しているか確認すること。日本語が恐いのは、語順変でも何となく理解できてしまう。

 アップ資料の改善点。


 ○その実験の結果はそれまでの俗説を否定した。←「は」は基本主語だから、次に用言を促す「が」が来ることはおかしい。

  結果は、俗説が、と主語の要素が二つある。「否定された」がどちらなのか判断しずらいので、アウト。解釈の違いで意味も変わってしまう。俗説が主語なら、その実験の結果により、それまでの俗説が否定された。条件を「俗説を」にしたら…一番初めの文が正しいものとなる。つまり「否定された」を能動態に変化させる。

                  ↓

  英語の五文型で考えれば見つけやすい。


 ○文献Aによれば、これまでの仮説Bは支持されることになった。←問題点は、主語述語がかみ合っていないこと。

  「支持することになった」がおかしいと感じられるのは、主語が存在していないから。主語の役割を担っている名詞がない。文脈によって明確に示されてもいない。ここで何を主語にするのか、ということを考えるのもポイント。後半を変えずに伝聞のみを変え、主語はなくとも筆者を隠し主語にすることも出来るが、「文献Aは、これまでの仮説Bを支持する」という意味になるかもしれないので危険。これも主語述語の問題。


 ○ここで問題になるのは、複数の助手を連れて行く場合、多額の交通費が必要になることである。←述語がおかしかった。何となく通じさせることが出来るが、主語と述語の対応が変。主部である「ここで問題になるの(こと)は」「必要になる」の対応は変。接続が出来ない。「問題となるのは、交通費が必要になることである」で修正可能。二文型とする。


 ◎日本語にとって、主語と述語のバランスを取るのは難しいのである。だいたい変な文になってるのはこのバランスが崩れてしまっている。それを起こさないためには、文を短くすればよいのである。


 ④修飾語の位置


  ○修飾語の位置が変になってしまう場合もある。アップ資料では大きな建物と国道沿いにある建物なのかが不明。

   大きな国道沿いにある建物  ←ミックスしてしまってる。国道沿いが大きい?

   国道沿いにある大きな建物

  

★今は短い文やからすぐ発見できるが、これが文が文を修飾したりして長くなってくると気づかない内に解りにくい文章になってしまってることは多々あること!注意する!


  アプリケーションソフトを大幅に入れ替える。

  大幅にアプリケーションソフトを入れ替える。←上の方がいい。修飾語と被修飾語は出来るだけ離さない。

  「大幅に」「速やかに」などをどうしても強調したいとき等に離してもよい。


 ⑤重文・複文の扱い。


 単文…彼は明日休暇を取る。  …問題なし。主語一つに述語一つ。

     私はカルボナーラを食べてエスプレッソを飲んだ。  …問題ないけど、述語二つある。


 重文…左脳は論理的な推論に関与し、右脳は直接的な判断に関与する。  …主語が二つに、それぞれに述語も対等に接続。


 複文…セロニアス・モンクは、彼が好んで聴いたピアニストである。  …主語は「セロニアス・モンク」と「彼」。述語は「聴いた」と「である」→「モンクはピアニストである」「彼は聴いた」。主語二つに述語二つだけど、対等に接続されてない。独立してない。「彼が聴いた」は「モンクはピアニストである」の修飾語であり、メインでない。対等でない役割でない文が入っているのが複文。


 この三つは区別できるようになり、そしてこれらを書くときは注意すること。そして出来ることならば、重文はあまり書かないこと。重文は短くない。誤りが増えるし、読み手に負担も負わせることとなる。完璧な単文だけで論文書くのも無理だけど…


 ★アップ資料の「平安時代には~」の文は重文のオンパレード。これは別に切ってもいい!!ついつい勢いで書いてしまうけれど、切って何の問題ないなら、切る!!!「が」という一文字は重文に使い勝手がいいが、読み手は意味を取り辛くなる。順接でも逆接でもとれてしまうから、読み手に文脈で判断させることえを強要してしまう!!!



 


    


 



主題:日本のお笑い~おもしろくない人間ありきの雰囲気の魅力~


主張すべきこと:バラエティの現状とおもんない人間の必要性を通じて、日本人のお笑いの特異性と細やかさを説いてみる。


目標規定文:日本のバラエティ番組に、紳助・さんま・ダウンタウンクラスの芸人が共演しない実態に疑問を当てつつ、逆におもんないタレントが起用されているところにライトを当て、おもんない人間に視点を誘導する。次におもしろくない人間の効果は何か、何故彼らはテレビ呼ばれるのかを高木ブーを例にとって考えてみる。彼の魅力はグループ内(ドリフスターズ)の笑いのハードルを相対的に低くすることや、同グループ内での緊急時の弄りキャラとしてにおくことに触れておく。そしてグループ内で重要な位置にあることを示しつつも、今ひとつ核心に触れることができないでいることを、文体から読者に感じさせる。そこで、次にピン芸人(HG,ざタッチ、なんでだろ等)を例にとって考えを進めてゆく。彼らにとってのグループとは何であろうか、ということを考えた際、それはテレビの前にいる視聴者を含めた日本全体なのではないかと仮定してみる。日本人自身がおもしろくない人間を求めているのではないか、という仮説である。あれを見て腹から笑う人間は少ない、なのにやたら売れている矛盾の原因はそこにあると説明する。なぜ日本人がおもしろくない人間を必要にしているかについて、西洋人と日本人の笑いの質の違いについても言及する。西洋人はスピーチなどで個人で笑いを取りにいく民族なのにたいし、日本人の笑いは「なんとなく」「解るような…」という点にあると説明する。場の形成には全体の中で存在自体がなんとなくおもしろい人間がいた方が好ましい。日本人はおもしろくない人間を含めた「場」を重視した笑いに惹かれる民族なのだ、と結をおく。



改めて見ると無理があるなぁ…


 「自分を掘り下げる」を終え…

     ↓

○「人に伝える」という作業


○いきなりぶっつけで書き始めてつじつまがあった一貫した文章書くのは、せいぜいA4一枚が限界。

 そのために設計を行う。

 ☆一段階…文章の中身を外観として決める。

   ①目標規定文…何を書きたいか、何を主張したいかについてメモ程度に決める。

             文の中に具体的に何を盛り込むのかを決める→何を盛り込まないのかを決める、ということ

             誰でも書きたいもの増えてくる。取捨選択。

             その後目標規定文と照らし合わせながら資料を探索、取捨する。目標規定文は物差し。

             レポート書きながら何度も規定文を見直してズレてないか確認する。確認できるようにする。

   ②KJ法の図解から目標規定文を書き起こす。

    ★文章書き出す際に「何を書けば解らない」という現象になるのは、

    その前の段階でつまづいているから!!そういうときは前の段階に戻って練り直すこと。

    ★授業ページに例が三つあり。具体的に書いてく。「ここでこの原因を示し…」とかの指令文でなく、「ここでの原因は

    ○○にあると論証し…」という風に具体的なポイントを盛り込んでゆくこと。あといかに取捨選択した結果のものになって

    いるかも見ておく。以上設計の最初の段階。


 ☆二段階…アウトライン・章立て

   ①文の流れ、文の構成を箇条書きで章立てする。KJ法の骨格から、文章の骨組みを完成させる。

    手順はKJ法から話の中心を一つ決めて、論点とする。そして関係線を頼りに、適切と思った順にグループを並べてゆく。

    最初は一筆書き感覚で並べていい。

   ②アウトラインの確定

    ①は下書き段階。①に過不足がないかを確かめて、削除したり補ったりする。時間に余裕がある場合は、足りないと思った

    時は図解まで戻ってカードを出してゆく。時間なかったらアウトライン上で補足して問題ない。

    章ごとの分量も事前に把握しておいた方がいい。書いてしまった後での字数との戦いはよくあること。

   ☆許された時間内において、これら手順の省略はやむをえない。



☆書く際に、ワードの「アウトラインモード」があれば用いるのもよい。

 「表示」から「アウトライン」を押すと可能。他にもアウトライン作成用のツールは昔からたくさん存在する。


☆論理的整合性とはどこで決まる?

    ↓

 最初に言ってることと最後に言ってることが食い違ってないか、というところ。

 食い違ってたら破綻してしまう。そこで出るのが「カテゴリーのレベル」って考え方。

 章立ての際にやたら細かく区切っていくが、きちんとその分けるランクを峻別しとく。

 ○の中に☆があるなら、ちゃんと○は大まかにわけて、☆は細かく分けておくこと。

 ○には「魚類」「両生類」と分別して、☆には「うなぎ」やら「ゴリラ」とかに分別しとくこと。話しの大きさを誤ったらダメ。

 もう一つ、その文章で「提案する」と言った場合には、宣言したことを実行することに留意する。

 提案したまま最後まで提案してない文章って結構ある。「そんなミスせんわ」と言うてもいざやるとすぐ別の話題に

 言ってしまうことは多々ある。急にこの話がしたくなった的な勢いで。



○採点対象になる課題の提出日…12月11日(月)→第一稿提出→クラスHP上にアップする

 この第一稿はリライトするためにあり。まずは完成させてから練り直す。


○今後の日程

 今週…アウトライン、目標規定文→設計

 来週(11/20)…パラグラフ→執筆

 12/4…読みやすい文とは?→執筆

といっても、それは自分が説得において自分で解決すべき「論の運び」であるらしく、

今日のグルワではそんな要求が出ることはなかった。


メンバーから出た要求はむしろ「おもんない人がいるっていうのは個人の微妙な心理要素だから、

読み手にそう思わせるような詳細な説得が必要であり、仮説・反例も多用してくれた方がわかりやすい」

「むしろ繊細な問題なだけに論理的なグラフや表も作った方がおもしろそう」といった、

このテーマが初めから持っている「きわめて感覚的な曖昧なもの」をいかに具現化させて伝えるか、

という確認みたいなものだったと思う。

確かにあまりバラエティに興味がない人には先ずそこから興味をひいてゆく必要があるため、

こういった点は執拗なくらいに説得してかかる必要があると思う。


「お笑いグループを拡大して日本全体を一つのグループと考える」という点は「おもしろそう」という意見もいただけた。

基本的な点を納得させつつ、あとはこの本論をどう推し進めてゆくか、というのが当面の課題になりそうである。


KJ法を続けてゆくにあたって、自分のテーマが内包している問題点が浮き彫りになってきたと思う。


「バラエティ番組におもんない奴は必要」というテーマについて考察を深めても、

結局今自分が考えている文章では、いくら成功したとしても

「ああ、そうなの。おもんない人も必要なんだろうね」

という感想を持たれて終わりなような気がしてきたのだ。


基本的にこのKJ表からは「売れてる芸人グループにはおもしろくない奴は必ずいる」

「視聴率のいい番組は、S級におもろい芸人同士の出演は避けている」

という、事実確認から説得を繰り返している押し付け文に過ぎなくて、

そんなことを繰り返してもその後に控える本命の

「日本人全体を一つのお笑いグループと考えることにこそ、ピン芸人の存在意義を捉えることが出来るのだ」

という自説に対する説得力には至らないような気がしてきた。


そういったことを説明するには「日本人は何がおもしろいか」という根本的な文化論まで

掘り下げないといけないだろうし、日本人を言うためには「西洋人は何がおもろいか」という

比較文化みたいな話しにもなってきたし…


とりあえず日本人は繊細な「場の空気」で笑うのだ、という仮説は立ててみたけど、

だから場の空気を安定させるようなおもんない芸人を

日本全体に映像として流すのだ…みたいな…うーん…