上京する日、新幹線のホームには、沢山の友達が集まってくれた。
もちろん、彼女にも連絡していた。
早くから、わいわいと話し、感傷的にもなり、やっぱり新しい門出に笑った。
もうすぐ出発の時間だった。
その時、後ろの方に彼女を見つけた。
ゆっくりと近づいたが、まだ微妙な距離を残したまま立ち止まった。
言葉が出なかった。
笑いかける事もできなかった。
先に顔を伏せたのは僕だった。
何かを問う事も、何かを宣言する事も、今更、思い出を振り返る事もない。
彼女に視線を戻すと、僕と同じ顔をしていた。
彼女は何か言おうと顔を上げ、そのまま気まずそうに目を伏せて、背を向けた。
別れの言葉はなかった。
ただ、最後に会っただけだ。
きっと彼女の事だから、最後に言おうとした事だって、ロクな事じゃないんだ。
だけど、新幹線に乗ってから、彼女の事ばかりを考えた。
最後になる?
そう思うと、胸が焼け焦げるようだった。
死んでしまう事と、ずっとずっと遠くに行ってしまう事はどう違うの?と彼女は言った。
それがイコールになった時、僕達は他人になれるのだろうし、別々の人生を歩んでいると思う。
彼女の事が好きな僕は、新幹線には乗せていけない。
忘れる事とは違うのに、矛盾した思考が心を重くした。
小さな彼女の背中を、どうして僕は抱きしめなかったんだろう。