海で溺れるみたいな感覚だった
私の足をつかんで
海の底に
ひきずりこもうとする
無数の手があるように感じた
溺れまいと
必死にあがいたけれど
まとわりついて
決して離れることはなく
観念して、
沈み込んでみた
そうしたら
その手は、
なんてことはない
置き去りにしてきた
過去の自分の手だった
ちゃんと海の底まで沈み込んで
その手の持ち主と
向き合ってみた
長い間
聞いてほしかっただろう
胸の内を
なんとかして聞き当てた
ひとり、ひとり
ひとつ、ひとつ
声にならない声を
言葉にならない想いを
あやまりながら
なぐさめながら
はげましながら
抱きしめるように
その子を包み込むように
声をかけて
向き合っていった
救われた子たちは
穏やかな表情をして
私の目をみつめると
ホタルのような
あわい、しろい
ひかりになって
私の手のひらから
空に帰っていった
ありがとう
ずっと、待っていてくれて
もう、忘れたりしないから
見て見ぬふりを、しないから
また、逢おうね