初めまして!タダノブと申します.ミクロ系の経済学者のブログが
少ないと思いましたので衝動的に作ってみました.

 お正月早々AEAに参加してきました.アトランタは寒いし,ワシントンDCで
は機材の故障で飛行機が飛び立たず大変でした.

 しかし,内容は大変濃いものでした!

RICARD GIL 教授の発表のこの論文と

The Role of Repeated Interactions, Self-Enforcing Agreements and Relational Contracting: Evidence from California Highway Procurement Auctions

GREG LEWIS 教授の

Procurement Contracting with Time Incentives: Theory and Evidence

はかなり参考になりました.

 前者は,カリフォルニア州の高速道路工事に関する元請けと下請け企業の関係を落札率に見る実証研究です.関係特殊的な投資理論では頻繁な下請け取引は,元請け企業に対する投資を高めて両者の共同作業の効率性を高める.Gil教授は,投資の効果を有意な落札率の下落に結びついていることを証明した.発表後下請け業者の現状に関する質問と議論を行った.日本の事情とは少し異なっているようだが,研究中であるKato and Tanno (2007)の改訂に参考になるでしょう.

 後者は,建設工事における工期の長短にインセンティブを与える施策の厚生判断を行った意欲的な論文でした.工期の短縮でどの程度社会的な便益が高まるかは大変興味深い.アドホックな設定もあるが現在入手可能なデータでベストな分析が行われている.