💡 歯科医院を高く売却するためのポイント一覧

① 財務状況（PL・BS）の改善

過去3〜5年の売上・利益が安定または右肩上がり
歯科材料費・人件費・家賃など固定費率が適正
院長の“役員報酬を除いた実質EBITDA（営業利益＋減価償却）”が高い
過剰な借入やリース残高を整理
保険と自費のバランスが良い（自費率20〜40%が理想）

② 人材・組織

**ドクター在籍（特に常勤医）**がいる：買い手は最重要視
歯科衛生士の定着率が高い
スタッフの給与体系が市場平均と乖離していない
院長が退任しても業務が回るオペレーション（マニュアル化）
スタッフの雇用契約・就業規則が整備されている

③ 診療体制・設備

ユニット台数が適正（3〜5台がベスト）
CT・マイクロスコープ・デジタルレントゲンなどの最新設備が整っている
デジタル化（レセコン・予約システム・オンライン資格確認）
内装やユニットの状態が良い（残耐用年数が多いほど評価◎）
駐車場・導線・バリアフリーなど“通いやすさ”要素

④ 患者基盤・地域性

新患数が安定している
リコール率が高い（歯科医院価値の根幹）
周辺人口が多い／競合が少ない
患者層が幅広い（子供〜高齢者）
Googleレビュー・口コミの評価が高い（★4.2以上が望ましい）

⑤ 立地の魅力

駅近、商業地、住宅地の中心など“立地の良さ”
テナント契約条件が良い（更新料・家賃が適正）
借地／テナントの場合、大家との関係が良好
駐車場付き／エレベーターあり（郊外型なら特にプラス）

⑥ 自費率の向上

審美・矯正・インプラントなど自費メニューが明確
価格表・説明資料（パンフレット）が整備
カウンセリング体制がある
単価UPは買手評価に直結

⑦ 法務・労務の整備

劣悪な労務環境やサービス残業がない
有給・残業管理が適正
過去の労務トラブルがない
トラブル患者・未払い患者の情報整理
税金滞納・レセプト返戻の問題がない

⑧ 院長の引継ぎ期間を柔軟に

売却後も数ヶ月〜1年の“業務委託契約”が可能
（これだけで評価額が数百万円〜1500万円変わることも）
引継ぎ用の資料や説明が整理されている

⑨ 明確なビジョン・ビジネスモデル

営業日・診療時間が拡大可能
ユニット追加スペースがある
分院展開に組み込みやすい院内オペレーション
ブランディング（WEBサイト・SNS）が整備

⑩ M&A準備としての事前対策

決算書の整理（“売り手によくある調整ミス”を排除）
院長の個人的支出を経費計上しない（EBITDAが下がる）
過剰在庫の処分
投資回収できていない機器の見直し
M&A専門家への早期相談

📈 特に価格が跳ね上がる3大ポイント（重要）

1. 常勤ドクターの有無（最重要）

→ いるだけで評価額が500万〜3000万円UP

2. EBITDAが高いクリニック

→ EBITDA × 3〜6倍が相場（都市部では7倍も）

3. 自費率20〜40%・新患数安定

→ 事業の将来性評価が跳ね上がる

📊 前提条件（ユーザー医院）

年間売上：3,000万円
利益率：55% → 年間利益（EBITDA相当）：約1,650万円
ユニット数：2台
スタッフ：助手1名のみ
院長ひとり体制に近い（衛生士不在）

📈 結論：この規模の医院の“現実的な売却価格”

M&A市場の実データでは、小規模クリニック（売上3,000万〜5,000万）の評価倍率は EBITDA × 1.5〜3.5倍 が相場です。

▶ 中央値（現実的）：2,500万〜4,000万円

▶ MAX（条件が良い場合）：5,000万円前後

▶ 最低ライン：1,500万〜2,000万円

💡 なぜこの価格帯なのか（理由）

■ プラス要因

利益率55%は異常に高い（通常は20〜35%） → 高評価
院内コストが極めて低く、そのまま買手に利益が残りやすい
ユニット2台は個人買い手にとってちょうど良い
売上3,000万は“個人開業の入り口”として需要大

■ マイナス要因

衛生士不在 → 分院長運営モデルに組込みにくい（企業買手の評価が下がる）
院長ワンオペ体制 → 引継ぎ必須で買手依存度が高い
スタッフ1名はコスト面でプラスだが、組織としては弱い

→ 個人開業希望の買手には非常に刺さるが、法人買収対象としては弱い
→ 結果として倍率は中間帯（1.5〜3倍前後）が妥当。

💸 より高く売るために今からできる戦略（非常に効果大）

① 制服の常勤衛生士を1名採用する（＋500万〜＋1,500万アップ）

→ 衛生士1名いるだけで評価が跳ね上がります。

② 売上3,000 → 3,500万円にする（たった500万増で売却額＋700万〜＋1,200万）

→ 買手は“売上3000万超の医院”を好む。

③ 院長残留期間を柔軟にする（半年〜1年）

→ 最大で売却額が**＋1,000万**動きます。

④ Google口コミ★4.3以上を維持

→ “新患が安定する医院”として継続性評価↑

🧮 より具体的なシミュレーション

あなたの医院の場合：

EBITDA（利益）＝ 1,650万円
倍率 2〜3倍が中心
→ 評価額：3,300〜4,950万円

条件が整うと、5,000万円台も視野に入る医院です。

以下は、 “超ミニマム形態の歯科医院”が、
3〜5年後に最大価値（=高額売却）を実現するための実践的ロードマップです。

M&A市場の評価ポイントを逆算し、「最小の投資で最大の評価UP」を狙う構成にしています。

📈 歯科医院価値増強ロードマップ（3〜5年計画）

【STEP 1：初年度（〜1年目）】基盤整備フェーズ

① 収益構造の見える化（EBITDA最大化）

院長役員報酬を適正に調整 → EBITDA（評価額の基準）を最大化
経費で混ざっている私的支出をゼロにする
レセプト返戻・ミスを改善して利益の安定性をアピール

📌 目的：後のM&A資料で“実質利益”として高く見せるため

② 診療体制の安定化

アルバイト衛生士でもよいので、衛生士在籍の事実を作る
（正社員化は2年目でOK）
衛生士枠の確保（30〜45分のSPT）
院長がいなくても診療が「部分的に」回る体制づくり

📌 衛生士ゼロはM&A市場で最も大きい減額要因 → 回避必須

③ 組織・法務の整備

就業規則、雇用契約、36協定など最低限の整備
勤怠管理と有給管理を適正化
賃貸物件の場合、大家と良好関係を確保（更新も早めに）

📌 買手のデューデリで最初に見られるポイント

④ 口コミ管理（Googleレビュー4.2以上）

レビュー数を50件→100件へ
患者トラブル削減のマニュアル化

📌 “新患安定医院”としての評価が上がる

【STEP 2：2〜3年目】売上拡大フェーズ

⑤ ユニット稼働率を向上（売上3,000 → 3,600万円）

SPT・PMTC枠で「衛生士主体の売上」を増やす
院長のチェアタイムを“治療中心”にシフト
自費補綴・白い歯の説明用資料を整備（成約率UP）

📌 売上500万円UP＝売却額＋700〜1,200万円相当

⑥ 衛生士の正社員化（1名）

定着すれば来院管理（リコール管理）が改善
衛生士1名＝M&A評価＋500〜1,500万円

📌 法人買手の評価ほぼ必須項目

⑦ WEBサイトとブランディングの整理

シンプルな歯科医院サイトをリニューアル（20〜30万円）
自費カウンセリング資料（PDF）を整備
SNS（特にGoogleビジネスプロフィール）を強化

📌 “見込み患者の入りやすさ＝医院の将来性”として重要

⑧ 院内機器の計画的更新

老朽化ユニットがある場合は更新を計画
（※投資回収できてから売却のほうが有利）
CTやマイクロは“無理に導入しない”
→ 小規模医院では回収困難・評価も大きく増えない

📌 評価額に対して費用対効果が弱いため慎重に

【STEP 3：3〜5年目】M&A準備フェーズ

⑨ EBITDAを美しく整える

売却前年の利益を“見栄え良く”整える
不要な経費を削り、利益率50%以上を維持
院長報酬の調整で実質利益を最大化

📌 買手が最も重視する数字は“過去3年のEBITDA平均”

⑩ 書類・情報の完全整理

以下の資料をM&Aで即提出できる状態にする
　・決算書3期分
　・月次推移表
　・スタッフ一覧（給与・勤続・役割）
　・設備一覧
　・レセプト情報（患者数、新患数）
　・賃貸契約書
すべて1ファイルに整理しておく

📌 情報整理されている医院は高額提示を受けやすい

⑪ 院長の「残留契約」プランを作る

売却後6〜12ヶ月の勤務計画を提示
勤務料として月30〜50万円で委託契約も可能
残留意思があると評価額＋500〜1,000万へ

📌 “院長が残ってくれる医院”は買手が非常に欲しがる

⑫ 売却タイミングの最適化

売却のベストタイミング
　→ 利益率が高い状態が2〜3年続いた年
　→ 院長が元気で週4勤務できる状態
　→ 地域の人口増 or 変化が少ない時期

📌 “勢いのある時に売る”が高値売却の鉄則

💰 最終的に狙える売却額

ロードマップ通りに進むと、以下のように価値が上がります：

現状の想定売却額

→ 3,000万〜4,500万円

3〜5年後の目標売却額（現実的なライン）

→ 4,500万〜6,000万円

最高値のシナリオ（衛生士定着 × 売上3,800万 × 利益率55%継続）

→ 6,000万〜7,000万円ラインも狙える

📌 最重要ポイントまとめ（これだけやればOK）

衛生士1名の定着（最大の価値UP）
売上を3000 → 3600万円に
利益率50%以上をキープ
院長が6〜12ヶ月残留できる状態に
M&A資料を整備し、買手に“手間のない医院”と見せる

・・・だそうです（知らんけど）