あいのりタクシー 中島健人 | かがやけんと@Sexy Zone 応援ブログ

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あいのりタクシー 中島健人

私はいたってフツーな高校2年生。
勉強もそこそこできるし、友達にも家族にも恵まれてる。
ただ、ひとつだけ、みんなには秘密にしてることがあるの。
それは、アイドルに本気で恋をしてるってこと。


愛しの彼は、5人組アイドルのメンバー。
雑誌の表紙やTV番組で彼の笑顔を見るたびに、いつも心臓はドッキドキ。
コンサートでは彼に向かって一生懸命うちわを振っているんだけど、
彼には見えてるのかなー?
彼はアイドルだもん。
きっと私なんて相手にしてくれるはずはない。
遠くから応援するしかないんだよね。
あの日まではそう思ってた…。


彼が所属するユニットの単独ライブの日、
ステージで歌う彼を見つめて、声が枯れるまで声援を送った。
コンサート終了後は、近くのカフェでライブ友だちとおしゃべり。ついつい夢中になって、1時間も話しこんじゃった。
「そろそろ帰ろうか」
逆方向に帰る友だちとカフェの前でバイバイして、駅に向かう。
すると、3つ手前の駅で事故があって、電車が止まっていた。
「電車で帰るのは無理だから、どうにかタクシーをつかまえなきゃ」
来た道をあわてて戻り、広い国道沿いで手を高くあげる。
通りすぎるほとんどのタクシーが貨走マークで、
空車のタクシーはなかなか見つからない。
10分が過ぎたとき、ようやく視線の先に
赤い空車マークのタクシーを見つけた。
すると、突然、私の前に帽子を深くかぶった男が現れて、
そのタクシーを止めてしまったのだ。
「ちょっと!私が先に手をあげてたのに」
黙ってられず、イラ立ちをその男にぶつけると、
「キミも乗りなよ。いっしょに帰ろう」
と、男は私の手を取り、後部座席に乗り込んだ。
立ちゲンカしても仕方ないから、しぶしぶタクシーに乗り込む私。ドアが閉まって車が静かに動き出す。
それでも、怒りがおさまらず、
「ひとこと、お礼を言ってくれてもいいんじゃない?」と私が言うと、
男はかぶっていた帽子を脱いで、「ありがとう」と言った。
「え??」
目の前で何が起きているのか把握できない私。
だって、いま同じタクシーに乗っているのは、
さっきまでステージで歌っていた愛しの彼だったのだから…。