シアターサンモールにて、浜尾くんファンの友人と、「メサイア」を観劇しました。
そういえばジョバンニ以来のサンモールで、いまだにジョバンニの思い出が濃く残っているので、懐かしく、不思議な気持ちになりつつ、たのしく観させていただきました。
アクションに迫力があってほんとこれ怪我しないか心配だなあ!と思いながら それぞれのキャラクターの個性がアクションにも生きていました

原作の小説は既読です。2月頃から読み始めて舞台の1週間前に読み終えたので本当にのんびりでした…
なので原作の記憶もふわふわしているのですが
「世界規模の軍縮会議があり、表向きには軍縮はしているけれど、水面下ではスパイも暗躍して情報戦争が絶えない」というところをベースに
舞台版にはその軍縮の再調印に反発し、日本を変えようとする「評議会」というテロリスト集団が登場します。
「評議会」という組織名と、そこに属するキャラクターの配役・名前が明らかになったのみの状態で舞台直前まで焦らされていたので(笑)期待や楽しみも一入でした。

評議会の4人は、本当になんというか、ばらばらで危うい人たちでした。
劇中では「二流テロ集団」などと評されていましたが、それは「日本転覆を目的にしているが、おのおののポリシーは全く異なる」という点において言えるようです。
だからこそ内部での衝突も絶えないようで。
ストーリーの中でいちばん最初に姿を見せたのは山田くん演じる大場くんだったと思うのですが、彼はだれかから怯えたようすで逃げていて、
彼を追って姿を現したのが玉城さん演じる周さんでした。
酷薄な笑みで大場くんを殴る周さん、あれ、?と思いました。同じ組織の人間じゃねえの、って。
同じ組織の内部でもいろいろあって、みたいなことは聞いていましたが最初から思い切り分裂してるとは思わなくて驚きました。
そしてさらに興味がわきました。最初からこれってどうなの!面白い!

というわけでとりあえず評議会のみなさんについて所感やキャラクターについての覚え書き。

・桧賀山純也(演:池田純矢さん)
評議会のメンバー、表の顔は国際ジャーナリスト。ジャーナリストの顔を使ってサクラ内部にも接近する。
北方連合のスパイであり、軍縮の再調印をその立場からも阻止しようとしているようす。幹部の三栖さんとは対立関係にある。
わたしはゴーカイジャーが大好きだったので純矢さんの、生き生きと快活な姿がすごくいいなぁと思っていましたが
今回は落ち着いて、洞察力観察力に長けた、賢い、しかしとてもずるい、「大人」の役でした。
低く張りつめた声と堂々とした様子がほんとうにただただ格好良くてうっとりしました。
この人のたくらみというか目論見というか、そういうものはほんとうによく見えませんでした。
北の人間である(珀の兄とも顔見知りである)というところは明かされましたが、それにほんとうに従順なのかわからないし、
いくつもの顔を持っている桧賀山さんには、自分なりに隠し持っている信念やらがまだまだありそうだなぁと思います。

・三栖公俊(演:中村龍介さん)
評議会の幹部で、国際指名手配犯。今回主人公側の「サクラ」が言い渡される任務のひとつが彼の捕獲。
無口だけれど全身に怒気とたくましさ、つよい信念を常にまとっている人。
がっしりとした体躯に、全身からあふれる強さがすごく男らしくすてきでした。
桧賀山さんの策で捕えられ、ビルに仕掛けられた爆弾が作動しただ死を待つばかりだったときも、ただ静かにその運命を受け入れようとする姿はとにかく男気に満ちていました。
柊介と颯真の絆を目の当たりにし、立ち去るふたりに「気持ち悪ぃんだお前らは」と声を荒げるシーンがありますが
誰とも心からわかりあえず、ただ死を待つばかりの男の寂しさが滲んでいるようで すごく好きです
そしてこのシーンの直後に手錠の鍵もった周さんがひょいっと戻ってくるのでなんかもう胸いっぱいでした…
「おまえにとっておれは手駒なのか」と周さんに問いかけるシーンもなんだかさみしくてせつないです
誰かと心から分かり合いたい、って、そう思ったんじゃないのかなあって そんなことを考えていました

・周康哉(演:玉城裕規さん)
評議会のメンバーで、三栖さんの部下。父親は政治家で、そこから持ち出したお金が組織の資金源にもなってるようす。
三栖さんの指示で基本的には拷問担当、というか常に誰かを殴っていろいろ吐かせようとしている。「手癖が悪」く、相手の懐からいろんなものをすってくる。
常におどけて人を小馬鹿にしたような言動が目立つけれど(桧賀山さんには「ラリってんのか」と言われる)それはどうやら周囲を欺くためのお芝居。本当はとても頭が良くて、世界をよく見ていて、自分の意志もしっかり持っていそうな人です。
登場から人を殴り、いちいち殴った拳をやかましく痛がり、饒舌に謎の持論を展開する。クレイジーで面白い人でした。
基本的におどけた様子でいますが、時折きらりと目に強い光を宿す。ふわふわと何を考えているか分からない様子から、一瞬でスイッチが切り替わる瞬間がありました。とらえどころのなさが増し、とても深く、複雑な人になっていました。
一度は桧賀山さんの罠で、三栖さんに手錠をかけますが、桧賀山さんの隙をついて鍵を奪い、爆破寸前のビルに三栖さんを助けにきます。
「まだこの人は使えるから」という理由で三栖さんを生かすのですが、これを機にふたりの関係がどうなるかも個人的にはとても気になるところです。
周 さんにとって三栖さんはずっと「手駒」なのか、それともちがう情が、友情と呼ぶには少しハードすぎるかもしれませんが、生まれることがあるのだろうかと。 柊介と颯真の絆を目の当たりにした三栖さんにはもしかしたら、孤独であることの寂しさが沁みたのかもしれません。周さんはそれを支える存在になるのでしょ うか。
最後の最後で本来の、とても怜悧な姿を明かした周さん。このまま終わってもらうのも困っちゃう!

・大場傑(演:山田諒さん)
評議会のメンバーで、この中ではおそらくいちばん下っ端にあたる。桧賀山さんの部下、というよりも腰巾着のような印象。
出番はそこまで多いわけではなく、でも、いちばん人間らしさを持った彼でした。
まず冒頭シーンで周さんにひたすら殴られ、桧賀山の居場所を吐けと迫られるけれども決して口を割りませんでした。
その後桧賀山さんに救われますが結局彼は桧賀山さんのことを何も知らず、利用されて結局口封じに爆殺されてしまいます。
この物語にはいろいろなコンビが出てきます。サクラ側のメサイア同士、そして評議会では三栖さんと周さん。
このふたりもコンビであったとは思いますが、ただそこに信頼関係というものは介在していなかったのではないかと思います。
おそらく桧賀山さんにとって大場くんは捨て駒であっただろうし、大場くんも、ただ強い者について自衛していただけである。というそういうような印象です。
強い信頼関係で結ばれたメサイア、信頼関係というところでは分からないけれど、お互いの力についてはしっかり認め合っていた三栖さんと周さん。
彼はふつうの人間だったんだろうと思います。ただなんとなく現状が気に入らず組織に来て、なんとなく強そうな人に同調してうまくやってきた。だけど意思やポリシーのない人間は、この状況では生きのびることなどできない。その象徴のような存在なのかな。
山田くんはそんな普通の男の子の、弱くて愚かなところもすごくリアルに演じていました。

評議会のみなさんについてはほんとうに色々(妄想も含めて)考えることが多く、また玉城さんのお芝居についてもまだまだ言いたいことがあるような気がするので、またまとめてみようと思います。

サクラ側のみんな含めて全体的な感想もかけたらと…!
狭いステージをふんだんに使って、迫力のある世界を見せていただきました。
個人的には好きなストーリーだったので、今後の展開が楽しみです。
映画は舞台の前日譚だそうで、また個々のキャラクター、そして今回はもうしっかりとした絆ができていた柊介と颯真の絆のはじまりなど、たくさんのことを知れるのがいまから楽しみです。

続編舞台を期待しつつ。

公演ごとに玉城さんにお手紙を書いています。

いつだったかな、1月か2月頃に、確かこんな内容のことを書いたと思います。

「現代劇も素敵ですが、大正や昭和初期の頃の少しレトロな時代の雰囲気もとても似合うと思う。その時代に書かれた作品が舞台等になることがあれば、玉城さんの姿と声で見てみたい」

的な。


丁度その頃、年末のライチの退廃的な風景のなかでエロティックに生きる少年やら、1月の不毛会議の戦時中にストイックにおのれを殺して生きる軍人さんやら、どこか暗くどんよりとした空気のなかでお姿を観る機会が続き、さらに1月末ころに発売されたグッカムにおいて「ドグラ・マグラ」のイメージカットを観、ああ、とても似合うなぁ!きれいだなぁ!と思いました。

大学では近現代の日本文学を勉強したり研究したりしていたのでもともと好きなので、家にある好きな小説の人物を玉城さんに置き換えて遊んでいました。

たとえば、わたしは江戸川乱歩の怪奇短編が好きなのですが、『人でなしの恋』という作品における旦那様あたりはわたしのなかでは完全に玉城さんです。

とびきり美しい方という設定ですが、その美しさを語る奥さんの言葉が、

「美しいといいます中にも、病身なせいもあったのでございましょう、どこやら陰気で、青白く、透き通る様な、…(略)」

とあり、ああこれは!と思いました。

この世のものではないくらいうつくしいけれど、どこか儚げで、陰気さもある。言い方はあんまりですが、どこか不健康さを纏ったこの感じが!すごくそれっぽいなと!

 

 

先日、6月に上演が決まっていた「極上文學」の追加キャストが発表され、そのなかに玉城さんのお名前もありました。

偶然なのですが発表の少し前に極上文學の公式サイトを見ており、ああ、まだ追加キャストさんがいるんだ、玉城さんが出るようなことがあればいいのに…と想像する、ということが本当にあったので驚きました。玉城さんが出演されなくても観たいなと思っていたので、これはもう本当にうれしいことでした。

文学が好きなのでとても気になっていた企画なのですがもろもろのタイミングが合わず、これまでに拝見したことはなかったので、今回それを観ることが できる機会を与えていただいたよろこび、そして、わたしの大好きなどんよりと薄暗い、近現代日本文学の「朗読劇」に、玉城さんが出演されることのよろこび はとても大きいです!超うれしい!つらい!的な!


作品は芥川龍之介の『藪の中』。大学在学中、一度ですが読みました。読みながらなんども混乱し、困惑し、わけがわからなくなりました。わたしがいままで読んだなかでいちばん混乱したのは先程も登場した『ドグラ・マグラ』でしたが、あれよりも比較的題材がわかりやすいからこその混乱でした。「あるひとつについての事件の証言」という比較的普遍的なテーマであるのに、もうなんというか、ひどく困惑した記憶が強く残っています。


すてきな演者さまたちに幻惑されつつ、またあのどんよりとした嘘に戸惑いたいと思います。

そして「観てみたい」と思っていたものが、実現したよろこび!

今後もさまざまに夢を持って追いかけていきたいと思っています!笑

先日は映画版の「不毛会議」の試写などがあり、映画を見せていただき、また出演者の皆様と握手し、お声をかけさせていただくありがたい機会をいただきました。

玉城さんとの握手では、いつも楽しく観させていただいている旨、また今後の舞台すべて見せていただく所存である旨などをお伝えさせて頂き、本当です か、ありがとうございます、と微笑んでいただき、なんかもう感無量だったわけで、本当に今後も見守らせて頂けたらと思ったのでした。


3月も終わりに近づきますが、未だに心は銀河鉄道にあります。「さよならジョバンニ」について感想をまとめようとしたところ、ギンガくんリュウセイくん、それぞれに関する記述がやたらと長くなりましたので分けて書かせていただきたいと思います。

 

今回は「ギンガくん(カンパネルラ)」について。


玉城裕規さんが演じられた「ギンガ/カンパネルラ」。ギンガくんは、頭がよく、感性的で繊細な男の子。自分が産まれた時に母親が亡くなり、そのこと を負い目に思い、自分が生きていることに疑問をもっています。そんな生い立ちに関するクラスメイトのからかいの言葉を聞き、それにそのまま感化されるよう な形で、校舎から転落して亡くなってしまいます。しかし彼は銀河鉄道の切符を持っており、自分をカンパネルラと呼ぶジョバンニに連れられて銀河鉄道に乗る と僅かに息を吹き返しました。


ギンガ君だったころの記憶を失ったまま、カンパネルラとしてジョバンニと旅をするなか、様々なことを経験し、学び、笑ったり怒ったり、悲しんだりす るようすがとても愛おしかったです。好奇心、恐怖、悲しみ、様々な表情を繊細に演じ分ける玉城さん。「経験」し、「学ぶ」のは物語のなかでジョバンニの役 割であるところが大きいと思うけれど、カンパネルラもまた、人間のことを学んでいると思いました。

「誰かが自分のために犠牲になるなんて耐えられない」というようなことを侍座で戦うお侍さん(林修司さん)に告げていました。ジョバンニがこの時自 分をかばい倒れたことで引き出された言葉でしたが、ギンガくんを産んだお母さん、そして、ギンガくんを追って銀河鉄道に乗ったリュウセイくんもまた、自分 の身を投げうちギンガくんを救おうとしている。「愛される」ということをまだよくわかっていない、不器用なカンパネルラ=ギンガくん。自分には守られる価 値がないのだと叫んでいるようで、もどかしくて、やっぱりとても愛おしい子。


じぶんの記憶を取り戻し、カンパネルラの犠牲の上に生きていたことを知ったジョバンニ。彼を見つめ、何か忘れていることに気付くギンガくん。リュウ セイくんから渡された林檎で「記憶」そしてジョバンニから「命」をもらい、再び、自分の世界で生きることになりました。いろいろな人に支えられ、愛され て、人はうまれ生きているのだという真実をあらためて知りました。

物語の序盤、ギンガくんにじゃれつくリュウセイくんの腕をそっと押しのけるシーンがありました。それは照れからの、特に意味のない動作であったかも しれない、けれど、終盤、自分の行いを悔やみ嘆くギンガくんはリュウセイくんに抱きしめられながら涙を流していたし、ふたりが星を見上げて歌うシーンでも その腕を素直に受け止め笑っていた。自分が生きている、だれかに愛されている、そのことを確かに知り、受け入れ、今までより一歩先へ進んだことの証ではな いかと思いました。彼の旅は私にもたくさんのことを教えてくれた。どうか彼と、彼のまわりで生きる家族と友人が、幸せでありますように。


玉城さんのお芝居は、先ほども書いたとおりとても繊細で、やさしく、とてもはかなく切なかった。やわらかい笑顔も、戸惑いの表情も悲しみの涙も、初 めて観る表情が多かったように思います。涙がまつげの上できらきら光っていたのが印象的でした。まさに星をみているようでした。


ギンガくんはすごく「普通の男の子」です。苦悩や悲しみを抱えながらも、日常を友人と微笑みあいながら暮らしています。そんな「普通の男の子」をと ても自然に演じながら、また、その中に浮かび上がる悲しみせつなさ、すべての感情をそこに違和感なくのせることができるのは、とてもすてきだなと思いまし た。

また、ギンガくんに出逢えればと思います。


3/2のマチネ、3/3の千秋楽を観劇しました。

ただただ幸せで、胸がいっぱいになり、同時にとても寂しくも感じました。この舞台に出逢えたことはわたしの宝物です。

今回は自分用にまとめたあらすじのみ。本当に一部です……!感じたことはたくさんあるので、また別途に感想を書きたいと思います。

 

おかあさんの命と引き換えに産まれた子、高校生のギンガくん。
頭が良くて明るくて快活で、やさしくて、繊細な心を持っている男の子。
「産まれてきてもよかったのかな」
「ごめんなさい、おとうさん。ごめんなさい、おかあさん」
ギンガくんはおかあさんのおなかの中から、「銀河鉄道の切符」を握ってうまれてきました。

ギンガくんは、自分の産まれに関するクラスメイトの他愛無い冗談のような言葉に傷つき悩み、死の恐怖と向き合ってみようと、校舎の窓に立つ。
そのままそこから落ちて彼は命を落としてしまいました。
幽霊となって病室をさまよっていたギンガくんは、ジョバンニに「カンパネルラ」と呼ばれ、ともに銀河鉄道に乗り込みます。
すると僅かに息を吹き返したギンガくんは、そのまま昏睡状態に。


ギンガくんの幼馴染みで親友のリュウセイくん。
いつもまっすぐで明るくて、ギンガくんのことが本当に大好きなのが伝わります。
毎年、ふたりの秘密基地のような場所で、一緒に流星群をながめて、夢や願いを語りあっている親友のふたり。
そのためギンガくんの死を聞きつけ病院に駆けつけた彼は嘆き、悲しみますが
息を吹き返したギンガくんを見て思い出します。
「ギンガは銀河鉄道に乗ったんですよ!ギンガは死んでなんていないんだ!」
そして戸惑うギンガくんのおとうさん、学校の先生たちに
「ぼくも乗ります!」と宣言し、
ギンガくんの担任の先生が運転した車にわざと突っ込み、彼もまた昏睡状態になり、銀河鉄道に乗るのでした。


ブルカニロ博士につくられたアンドロイドのジョバンニ。
博士の息子として産まれてくるはずだった男の子です。
彼は本物の人間になるために銀河鉄道に乗り、これまで107人の友達「カンパネルラ」と旅をし、ひとつずつ人間らしさをもらってきました。
笑うこと、泣くこと、怒ること、そして最後の「カンパネルラ」がくれるのは「夢を見ること」。
ジョバンニとカンパネルラ、ことギンガくんは、さまざまな星に降りたち、さまざまなことを学びます。ジョバンニと旅をはじめたギンガくんは、もう「ギンガくん」だったころの記憶をなくしてしまっているのでした。


サザンクロスにまっすぐに向かう「銀河中央線」に乗るジョバンニとカンパネルラですが、
追いかけていったリュウセイくんが乗り込んだのは「天の手線」 つまり路線が違うのでなかなか出会えません。
リュウセイくんはなぜか動物ばかりのその電車で出逢ったパンダとオカピとお友達になります。
そしてそこで「ギンガくんのおかあさん」にそっくりな女性と出逢い、
彼女の誘いに乗ってさそりの星へとやってきます。

彼女は、さそり座のお姫様でした。
「男を誘うために相手の理想の姿を見せる」ので、リュウセイくんには彼女がギンガくんのおかあさんに見えたのです。
さそり座は監禁マニアの王子様に乗っ取られて赤い輝きを失いかけ、青い星に変わろうとしていました。
パンダとオカピがさがしていた三大珍獣の仲間のコビトカバも王子の部下である赤ひげさんに捕えられていました。
「この星を救ってくれたら、サザンクロスにつれていってあげる」
女王様の言葉を聴き、ギンガくんを取り戻しにサザンクロスに向かうため、リュウセイくんは王子を倒し、さそり座は赤い光を取り戻しました。
女王様から貰った「真実を取り戻す林檎」を持ち、リュウセイくんはギンガくんを想いながらサザンクロスへ向かいました。


サザンクロスにたどりついたジョバンニとカンパネルラ。
ジョバンニは思い出せない過去を取り戻すため車内で出逢った林檎売りの女性に、例の林檎を貰って食べます。
そこでジョバンニが思い出したのは、
「これまで出逢ったカンパネルラの命とひきかえに、自分は人間らしさを得てきた」という真実でした。
ジョバンニは迎えにきた博士に激しく抵抗します。
自分のためにカンパネルラが死んでしまっていたこと、そして大事な友人であるカンパネルラをもうこれ以上失いたくないという気持ち。
そんなジョバンニを見て、カンパネルラも「何か忘れてしまっていることがある」と、思い、とても苦しみます。
そこに駆けつけたリュウセイくんは、「ギンガ」だった自分の友達が、自分のことをすべて忘れてしまっていることに気づき、
さそりの女王様に貰った林檎をカンパネルラに与えるのでした。
すべてを思いだしたギンガくんは、リュウセイくんといっしょに自分のいるべきところに帰ろうと思います。
じぶんが生きていることの尊さ、いかに愛されていたか。すべてを知ったのです。
しかし銀河鉄道の車掌さんは言います。
「このまま帰ることはできない」
ジョバンニのもとにあるカンパネルラの魂をギンガくんに渡せば、それで元通り生きることができる、と、車掌さんは言いました。

ジョバンニはギンガくんを救うため、銀河鉄道の切符を破ります。
切符を破ると旅はそこで終わり、どこにも行けず、どこにも戻れなくなります。
魂を失ったジョバンニは空っぽに戻ってしまいますが、ギンガくんはすべてを取り戻し、また自分の世界にリュウセイくんと戻ってゆきました。


目覚めたギンガくんは、カンパネルラだった時に出逢ったジョバンニのことを、すべて忘れてしまっています。
しかし最後に渡された記憶チップの存在やリュウセイくんの言葉で、ジョバンニがたしかに自分とともに生きた事実を知るのでした。
「カンパネルラ、さみしくなったら空を見上げて」
流れ星を見つめながらギンガくんはつぶやきます。
「ありがとう。さよなら、ジョバンニ」

観劇初め。

はじめてのCBGKで不毛会議を観ました ふかふか椅子が気持ちよく(これに妙に感動しました)広さもちょうどよく、サイドシートでも十分だったと思います 

以下雑感です 本当に雑感です そういえば映画があるんですね、どの程度内容が同じかわかりませんが一応ネタバレになるかと思います!

 

「某国の戦時中」という設定のお芝居 第二次世界大戦中の日本がベースなのはもうすぐに分かるところではあります

小隊長を亡くした軍人6人が小隊長の四十九日に、彼の別荘に集まり会議をする

「作戦会議」という体ですがなんの作戦かというと、まあなんというか弔い合戦かな 亡くなった中将の意思を継ぎ、敵国に立ち向かう作戦です

この作戦に「賛成」もしくは「反対」で決を取った際、ひとりだけ反対票を投じた人間がいたがために亀裂が入り会議が紛糾し、挙げ句いろいろあって(本当にいろいろあった)ぐちゃぐちゃになってゆきます

 

玉城さんが演じていたのは徳川氏 階級は少尉、荒畑中将が亡くなった後に実質リーダーになった綱吉少尉の補佐官のような役割でした。綱吉少尉(松雪オラキオさん)という方がかなり人間味のある、滑稽で面白い方だったので、対になるようにクールで知的で落ち着いた方でした

基本的にはお堅い軍人という雰囲気の人だったので、明るくふざける部下達を眺めながら口元を綻ばせるシーンや、山本くん(畑中さん)が異国の恋人に宛てた手紙について柔らかく問いかけるシーンなどが妙に印象に残りました。

この人が冷たく、時に残酷でなくてはいけないのは時代のせいなのかなぁという所感

 

努力型の秀才こと新村くん(浜尾くん)の、徳川さんへの憧憬と妬ましさが混ざった感情もすてきでした どうせ自分は努力してようやく帝大に入れただ けの人間で、そんな人間には太刀打ちできないくらいの天才である徳川さんはとても素敵だけれど、同時にとても妬ましい、自分がみっともない、そんな卑屈さ が良かったです。個人的にはいままでにあまり観たことのないタイプの浜尾くんのお芝居でした

新村くんの立案した作戦では勝ち目はないと彼を鮮やかに論破した後に「だからこそこの作戦に賛成だ」とやさしく新村くんに語りかけるシーンは少しだけ怖いです

 

実は生存していた荒畑中将が戻ってきた後に徳川さんは「早く死にたい」と感情を露にします

同僚がどんどん死んでゆく、生き残ってしまっている自分はとてもみっともない。

いつも冷静だった人のエネルギーが「死」を口にした時に爆発したのを感じて

わたしはなんだかとても悲しいなと思いました

「国のために死ぬ」というのが最も立派とされた時代のおはなしです。

「生を諦め、死へ向かう」というよりも、「生きる」という選択肢そのものが彼の中にもう存在しなかったのだと思うと、なんだかもう、悲しいなと思うばかりなのでした。

 

戦争は終わり、死に損なった中将は嘆き、敵国の恋人との未来を願っていた山本さんはこころから喜びます。

「生きる」ための強い意思とパワーに満ちた人でした。

ラストシーンは衝撃的で、しばらく呆然としました。思い出すと胸が痛いわ

 

「この人はいったいどういう人か」

それを探りたくなるような玉城さんのお芝居が好きです