先日、ホームで電車を待っていたら、
何かが首に止まった。
急いで振り払うと、
子供の頃嗅いだ、懐かしくも臭いニオイが。
その正体は「カメムシ」。
カメムシの臭いは強烈なので、
なかなか臭いが取れなくて、
何度も首を拭いてもずっと滞留している。

電車に乗り、首をふきふきしていると、
コロっと何かが落ちた。
「カメムシ」だった。
そりゃ、ずっと臭いわけだ。

目の前で座っている女性が、すごく迷惑そうな顔をしていた。
すいません、僕のせいですと思いつつ、
だってしょうがね~じゃん。
と腹が立ってきた。

そういえば、昔、同じように首にセミが止まったことがあって、
その時も気づかず電車に乗り、なんだかチクチクするなぁと
思って首を触ったら、「ジュッ」という音とともに、
セミが車内で飛び回り大騒ぎしていたことを思い出した。
その時は、他のお客さんが笑いをこらえるのに
必死だったのが空気で伝わってきた。

俺って、首から樹液のような、
木とか葉っぱとかの臭いでもすんのかなぁと
ノスタルジーにしたりながら、
目的の駅で降りようとすると、
さっき振り払った「カメムシ」が誰かに踏まれて、
お亡くなりになっていた。

あのとき、駅でちゃんと振り払っておけばなぁ。
ごめんな。「カメムシ」。