みちるのアトリエ

みちるのアトリエ

作詞家・詩人
みちるの公式ブログです

「10秒の詩」「10秒で終わる詩」「20秒で終わる詩」はみちるが作る短い詩の量り売りシリーズ。どうぞよろしくお願いいたします。
Amebaでブログを始めよう!
3・11 心の復興を祈って


10秒の詩 5編 みちる


 
思い出の中で遊ぶ
みんな一緒
会えなくなった人も
小さいころの私も
 
 
+
 
 
机の引出しの中に忍ばせたお守りは
あの人がくれたもの
うっすらといい香りがする
私の中にありつづける春
 
 
+
 
 
水彩絵の具を溶いて
筆を浸します
眼を上げると
大好きなあの人も同じ仕草
 
 
+
 
 
思いすぎて もう飽きてしまった
でも きっと
また思うでしょう
そんなことを 思っている
 
 
+
 
 
空は これでもか というほど雪を降らせ
やがて その雪を溶かそうとする
私は 春が来たら
春を待つ心を 溶かして海へと流します

君の二つの耳は

片方で電話しながら

片方で音楽を聴くことができるので

ぼくの声はラジオドラマのようになり

フィクションとなる

噛み合わないところが

あなたのいいところだと思えてきたんだ

ちょっと悲しかったり

寂しかったりすることも

いいところだと思えてきたんだ


自分のことだってみえないじゃないか

かみ合う相手を見つけるなんて

無理なんだ

{3525915A-541A-459D-ABEA-C7EA72DF465E:01}

六本木ヒルズから放送しているネットテレビで紹介してくださいました。番組MCの宮川まどかさん。オーボエ奏者としても有名な方に好きな詩を選んで読んでいただけてしあわせです。

まだ寝ているのかい と

風に翻った葉っぱが
窓越しに語りかけてきた


みちる 10秒の詩 上村奈央 絵

絵 上村奈央 詩 みちる

12歳の卒業式から

何日が経ったのか
指を折って数え
そしてその指を唇にもっていった

指が唇に触れているのだが
この感覚は
唇から来るものなのか
指から来るものなのか
それとも
どこか遠くからやって来たのか
分からずに途方に暮れる

私の唇は
小さなアンテナ
指はセンサー

私は大きくため息をついて
明るくない 未来のことも
考えていた