「行ってみたいとこ、あるんだけどさ」
「ふ〜ん、どこ?」
私自身はキャンプを始めて3年目ぐらいである。
だが、
ちまたで人気のある「ゆるキャン」のキャラクターとか、聖地とか、
まったく興味が無かった。
「明日休みだから、行ってみようか、お天気は良くないみたいだけどね。」
「ちょっと行って見てみたいだけだから…」
「朝の4時に出発だよ。」
「4時に出発?」
「どうせ起きているでしょ。」
朝の4時、
布団に入るのが早いせいか、毎日何度も夜中に目が覚める。
隣のリビングからもれてくる僅かな明かりや人の気配も、夜の睡眠を妨げているのかもしれない。
3時半ぐらいには目を覚まし、ダラダラとスマホのチェックをする。
朝の4時と言ったが、そんな約束なんかあって無いようなもの。
4時過ぎに階段を降りてくる気配、
「ふ〜ん、起きて来たんだ。て、言うか昨夜は2階に上がって寝たんだ。」
急いで支度をする。
天気は悪そうだけど、場合によってはタープぐらい立てて茶ぐらい沸かそうか…
日帰りだから、車はタフト。
「先に乗ってて」
車に行くと運転席にいる。
「なに、運転するの」
たとえ、やつが二種の免許を持っていたとしても、
身内の運転の横に乗るのは緊張する。
それはお互い様であろうが…
家を出て2時間あまり、くねくねした山道をこれでもかと走りまわる。
「車の中、変な匂いがする。」
「そう?わからん。あんたの体臭の方が臭いわ」
月に一度の墓参りの為に車の中には線香を置いてある。
その香りのせいなのか、体調のせいか、自分の運転でさえ気持ちが悪くなったらしい。
目的の場所に着いた。
霧の湖畔を散策、
一周する頃には霧が晴れて湖が現れた。
スパイスの効いたチャイを飲みしばし休憩。
「今度泊まりでキャンプしてみる?」
「そうだね」