小雨降る中、空き地に車を停め細い道を長女と孫と登っていく。


もしかしたら他人の土地…?

木々が生い茂り今にも何か出て来そうな小道を歩く。


「ばあば、トトロの森みたいだね〜」


孫の言葉に、


「ととろ〜だよ〜🌰」

と、だみ声で答えるBBA....


「トトロはそんなじゃないよ😤」


とばっさり長女の言葉😂



まあ、ともかく傘をさしながら、さながらサツキとメイと、体型はトトロの3人で森の中を数メートル進むと、


いきなり目の前に開けた土地にぽつんと1軒の古民家が現れる。




朝から作業をされていた家主さん親子と、息子さんの奥様が待っていてくれた。


間に入ってくれた方が話していたようにとても素敵な方たちであった。



遠方より、たまの休みを返上して来られている様子、

作業の邪魔にならないように家の中を見させていただいた。






昨年までおばあさまがお一人で暮らしていらしたお家、
築数なりの古さは感じられるが、どこか懐かしい空間であった。


内覧して諦める決心をするために来たのに、もう、こころが揺すられているさゆりであった。


結局は作業の邪魔になってしまったかもしれない。
こちらの質問にも丁寧に答えてくださった。
家主さんの手放す覚悟をしながらも、この古民家を大事にしてくれる人に、この家を任せたいという思いが強く感じられた。


自分達で片付ける時間の無い家主さんは、家財の処理に業者を依頼していた。

「良かったら、使えそうな物があったら持ってって〜」と、


「えぇ〜いいんですか😳」

「いいです!いいです!かえって助かります😄」

「こ、このちゃぶ台!いいですよね〜!処分しちゃうんですか😳」


「どうぞ、どうぞ!」

「わぁ、うれしい!これって、脚の部分が折りたたみになるんですよね〜」


「へっ?そうなの?ならないですよ〜」


「いやいや、なりますって😄」


さゆりはそのちゃぶ台をひっくり返し、一見動きそうにない脚の固定された部分を動かした。

長い間、倒された事がなさ気なその脚は何のこともなく簡単に折りたためた。


「へ〜すご〜い!」

「いやいやいやいや、知らなかったんか〜い😄」



訪れた時間が昼に近づいていたため、
細部まで見る事もなく、次回にまた訪問する約束をして山を降りたさゆり達であった。


それから数日…

ずっと、あの山の上の古民家を想うさゆりであった。