さゆりは姉の家を出て、国道150号を西に向かった。
焼津に入りしばらく走ると、今度は北に向かって走る。
高速の焼津インターチェンジを左手に見てさらに走っていく。
新東名の入口までかなりあるが、このまま一般道を走るより新東名に入ったほうが断然早く目的地に着くのだ。
ナビは偉い!
二車線ある道の走行車線を走っていると、いきなり(のように感じる)左折しか出来ない車線になっていたり、そこが有料道路の入口になっていたり…いつかは仕方なく有料道路の入口に入ってしまった経験もある。訳を話して出してもらったが…
ナビは言う。
「この先の車線に注意してね!」
実はナビがついた車は、夫が亡くなった後に買ったこの車が初めてであった。
ナビを使い初めてまだ2年も経っていないのに、もう離れられない!たまにナビの言葉を信じることが出来なくて
とんでもない所へ行ってしまうが、ナビはそんなさゆりを見放すこともなく、正しい選択肢を示してくれる。
だけど、さゆりは思う。
昔はナビなんか無くったって、カンで
(道路標識を見て)何処へでも、初めてのところへも辿りつく事が出来た。
だけど、
たった2年もしないうちに、ナビに頼り切りになっているのを感じてしまう。
もう年齢的に迷っている時間が無いって無意識に思っているのだろうか…
失敗しても許されるのは何歳までなんだろう…
ナビという船先案内人に身を任せているうちに、迷い道を突破してきたカンが無くなってしまったと、思わずにいられないさゆりであった。
雨の降る道の駅門出で長女と合流。
3人いるうちの一番下の孫が一緒に来ていた。
長女達を待っている間に門出でお土産のプリンを買っておいて良かった。
さゆりの車の中にはいつもクーラーボックスが常備されている。
もちろん、湯沸かしの為のケトルにタフまる君、皿にコップ…
つい最近まではバッテリーに電気毛布に寝袋まで積んでいた。
無計画に旅に出られるわけではないが、いつでも出かけられる。
もちろん今は準備だけである。
長女達と目的の場所に向かう。
実はさゆりがここを訪れるのは今日で3回目であった。
前回はこれから先、さゆりの夢のサポーターになってくれる友人も一緒であった。
夢中になると周りが見えなくなってしまうさゆりと違って、友人は冷静に助言をしてくれる。
その古民家までのアクセス、それが問題だねって言われた道を登っていく。
つづく