地方に住み、自治体と働くということ⑤ ~クラウドファンディングについて考える
起業を考える際に、最初のお金をどのように確保しますか?まだ収益化のめどが立たず、事業開発の段階なのだとすると返済が必要な「融資」はちょっと怖いですよね。そんな中、近年はクラウドファンディングのサービスが各社から目白押しです。クラウドファンディングとは、多数の個人(クラウド)から少額の資金を集める(ファンディング)資金調達の新しい方法で、古くは2011年に始まったReadyforをはじめ、現在では20以上のサービスが雨後の筍のように登場しています。自分の店をオープンしたり、新しい商品を開発したり、イベントを開催したり何か新しいチャレンジをする際に、自分の取組に共感してくれた人々から資金を集めることができ、将来のユーザー獲得にもつながるユニークな取り組みです。お笑いコンビキングコングの西野さんが、「えんとつ町のプペル」を作った時にもクラウドファンディングが使われていたので、ご存じの方も多いでしょう。今回は、地方起業で使えるクラウドファンディングについて、考えてみたいと思います。■クラウドファインディングには4種類あるクラウドファンディングには大きく分けて、金銭以外のモノやサービスを特典として受けることができる「非投資型」と、金銭的なリターンを得る「投資型」の2つがあります。「非投資型」には、商品開発のための資金を調達して、完成後に商品を送る「購入型」と事業そのものへの共感を募り、返さなくてもいいお金を集める「寄付型」の2種類あります。「投資型」には、調達したお金に金利を付けて返済する「融資型(ソーシャルレンディング)」、調達したお金に配当を付けて返済するけど元本割れする可能性もある「ファンド投資型」の2種類に分けられます。クラウドファンディングの会社の中には、これら1種類のサービスに特化しているものもあれば、複数のクラウドファンディング方式を運営しているサイトもあります。◇購入型クラウドファンディングの特徴購入型クラウドファンディングには、「All or Nothing型」と「All In型」の2種類のやり方があると言われています。All or Nothing 型では、期間内に目標金額に到達しなければプロジェクト不成立となり、資金を受け取ることはできず、支援者に全額返金されます。プロジェクトが実現しないのに資金が返ってこない、なんていう状況は、支援者にとって不安ですよね。このため、「資金が全額集まらなければプロジェクトが実現しない」場合にAll or Nothing型が採用されます。他方、All In型では、期間内に目標金額を達成しなくても、集まった資金を受け取ることができるという方式です。こちらはもちろん、資金が全額集まらなくてもプロジェクトの実行が確約されていることが条件となります。両方のタイプを掲載しているサイトもあるので、自分の事業の特徴を考えながら選ぶとよいでしょう。【参考:購入型・寄付型のサイト比較】出典:【2020年 最新版】クラウドファンディングのサービス徹底比較!◇金融型クラウドファンディングの特徴融資型では、元本+利息という「お金だけ」でリターンを提供する必要があります。通常の融資とくらべて手数料が割安ではあるものの、元本を返済する義務があるため、ある程度の収益が見込めないと難しいでしょう。他方、投資型では出資者も事業リスクを負うため、元本保証はなく、事業の成果によって分配金が変動することもあります。収益の見込みが立ちづらいけれど、事業そのものに社会的意義がある場合に採用される方法です。このような特徴から、投資型クラウドファンディングの事業は社会貢献度が高いことも特徴の1つです。また、金銭的なリターンだけでなく、その事業によって生産されたモノやサービスを受け取れることもあります。【投資型のサイト比較】出典:【2020年 最新版】クラウドファンディングのサービス徹底比較!■地方起業で使えるクラウドファンディングとは?・地方創生に特化したテーマがある・SDGsに力を入れている・ガバメントクラウドファンドを扱っているという視点で、各サイトを見てみるとよいでしょう。クラウドファンディングの紹介サイトBAMPの記事の中から、「地方起業」に使えそうなものをピックアップしてみましたので、参考にしてください。※サイトの紹介文はBAMP(https://bamp.media/knowledge/1003.html)より転載しています。※各サイトで掲載されているプロジェクト例は、2020年9月19日時点でプロジェクト成立しているものからピックアップしました◇購入型・寄付型【購入型】CAMPFIRE(キャンプファイヤー)購入型国内クラウドファンディング年間支援プロジェクト成立件数No.1(株式会社矢野経済研究所調べ2018年11月現在)の日本最大級のクラウドファンディング・プラットフォーム。手数料12%+決済手数料5%(=17%) アップサイクル愛媛 廃材を活用した商品を販売開始!! 226万円(84人支援) 英語を諦めたくない人へ、外国人が集まる宿で留学体験を届けたい! 78万円(86人支援)3rdTable(サードテーブル)飲食の新しいチャレンジを支援するクラウドファンディングサイト。「飲食業界を切り拓く新たな挑戦」「お店やオーナーの熱い想いが込められている」などを基準にプロジェクト掲載を行う。CAMPFIREと同じ会社が運営しており、掲載ページも共有されている。手数料12%+決済手数料5%(=17%) ビール醸造家が店頭に立つブルーパブが、一生涯1日1杯サービスになる特別会員を募集 220万円(183人支援) コーヒーとお茶のお店を信州諏訪に。一杯のカップで豊かさについて考えるきっかけを。 161万円(199人支援)Makuake(マクアケ)株式会社サイバーエージェントのグループ企業である株式会社マクアケが運営するクラウドファンディングサイト。独自の市場分析ツールやメディア掲載数5,000件以上の実績が強み。ふるさと納税型のMakuakeガバメントもある。手数料は20%(決済手数料5%を含む)。 トゥクトゥクで高知を元気にしたい! 211万円(71人支援) 日本初!大学構内の日本酒蔵。上川大雪酒造が北海道十勝の国立帯広畜産大学に創設 2,967万円(2,810人支援)Kibidango(きびだんご)スタッフやクリエーター陣でメディア「かわら版」を運営。手数料は10%と業界最安値(楽天ペイ利⽤時は14%)。世界最大級の購入型クラウドファンディングサイト「Kickstarter」からKickstarter Expertに認定されており、Kickstarterへの挑戦を成功させるアドバイスを受けることができる。 最先端のICT環境を備えたオルタナティブスクール「スタディプレイス」を作りたい! 107万円(142人支援) おばあちゃんの料理を【レシピ遺産〜秋冬編〜】としてコロナに負けずに出版したい! 50万円(24人支援)GREEN FUNDING(グリーンファンディング)出版・CD・DVD・ガジェットなどのプロダクトの購入が主流のクラウドファンディングサイト。TSUTAYAグループの店舗と提携し、リアル店舗での展示や販売、体験会を行うほか、メディアと連携したプロモーションなど、資金調達以外のマーケティング支援も期待できる。「担当キュレータープラン」はフルサポート・決済手数料込みで運営手数料20%。 構想から6ヶ月で現代アート美術館をオープンする32歳の挑戦 424万円(162人支援) 障がいを持つ方の一人一人にあった作業工具を揃えてものづくりをする楽しさを伝えたい! 120万円(29人支援)MotionGallery(モーションギャラリー)アート、音楽、写真、ゲーム、映画、書籍などの創作活動の実現を支援するクラウドファンディングサイト。MotionGalleryを通じて、世界最大級のクラウドファンディングサイト「Indiegogo」内で日米同時にクラウドファンディングが可能。手数料5%+決済代行手数料5%(=10%) 「続けコミティア」自主制作漫画誌展示即売会継続支援プロジェクト 1億2,550万円(10,548人) ほめないしからない認める教育「トエック」が子育てや暮らしのヒントをネットラジオで配信 222万円(170人)sandwich(サンドイッチ)大分発・大分のためのクラウドファンディングサイト。大分合同新聞社がプロジェクトのPRを、大分銀行が資金調達等をサポート。手数料は20%。 厚物帆布の加工に長けた創業68年の歴史を持つ大分県の老舗テント屋が、新たな素材「超高密度織8号帆布」を使用した高性能トートバッグの開発に挑戦! 179万円(154人支援) 別府の街を“巡る”入り口として!大分の地酒と全国・世界の銘酒が楽しめる“ Sake Stand ”がついにOPENします! 150万円(160人支援)未来ショッピング「企業にイノベーションを。地方に活力を。」がコンセプトのチケット購入型クラウドファンディングサイト。日本経済新聞社が運営。日経読者や会員などに予約購入形式で事前に資金の調達が可能。後述のENjiNE(エンジン)への同時掲載も可。手数料(成功報酬)は20%。 特別なボラの卵巣だけを使った幻の「からすみ」づくりを完全復活させる 60万円(16人支援)WonderFLY(ワンダーフライ)ANAが運営するクラウドファンディングサイト。通常のクラウドファンディングに加え、テーマに対してアイデアや技術を競うクリエイティブアワード(コンテスト)を開催しており、事前にアイデアや可能性を試すことができる。達成したプロジェクト商品は「WonderFLY ONLINE SHOP」もしくはANAショッピング「A-style」で販売することができる。手数料は20%(決済手数料・税込み) 熱海の温泉水で造った無添加の石鹸を通して、人と自然に優しい環境作りを推進したい 67万円(154人支援) 小豆島産の生ハムに挑戦!潮風と醤油麹菌で「日本版ハモンセラーノ」を製造 148万円(149人支援)【寄付型・購入型】GoodMorning(グッドモーニング)「社会問題と向き合う人のクラウドファンディング」がコンセプト。2019年4月にCAMPFIREより分社化。手数料は9%+決済手数料5%(=14%) 一千年続く日本一の侍・馬事文化「相馬野馬追」を守りたい! 1,128万円(424人支援) 猫と触れ合える旅館「新玉(あらたま)旅館」の保護猫たちの命を守りたい 854万円(1,417人支援)Readyfor(レディーフォー)日本初・国内最大級のクラウドファンディングサイト。調達側の手数料は、シンプルプラン手数料7%+決済手数料5%(=12%)、フルサポートプランはサポート手数料12%+決済手数料5%(=17%)。寄付型に特化したReadyfor Charityや、ふるさと納税を対象にしたReadyforふるさと納税、国際協力活動応援プログラムのReadyfor VOYAGEのほか、Readyfor 緊急災害支援プログラム、大学向けクラウドファンディングのReadyforCollege、社会的養護を必要とするこどもを支援するReadyforこどもギフトを展開している。 下関を世界有数の港町に!複合施設ウズハウスで町を元気にする【個人プロジェクト】 4,439万円(425人支援) 元薬草園を改修して日本初のボタニカルブランデー蒸留所を作る! 1,692万円(685人支援)FAAVO by CAMPFIRE「まちでいちばん身近なクラウドファンディング」として地域を盛り上げるプロジェクトに特化したサイト。利用可能年齢は20歳以上。「寄付型」「購入型」ともに、手数料はサポート内容によって異なる。※FAAVOは今年5月に、CAMPFIREとシステム統合しています。A-port(エーポート)朝日新聞社が運営するクラウドファンディングサイト。新聞社独自の情報発信力・リサーチ力・編集力のノウハウが強み。寄付型に特化したA-Port寄付型のサイトもある。手数料15%+決済手数料5%(=20%)。オンラインサロン開設サービスあり。 天草の食材のベーグル&マフィンで地域活性化!天草の高齢者と日本を元気にしたい 61万円(76人支援) 失われた幻の染め物・400年の歴史を持つ「高砂染」を復刻し、世界へ! 176万円(56人支援) KAIKA(かいか)山口県を中心に広島・福岡の若者や女性を主なプロジェクトオーナーとするクラウドファンディングサイト。地域活性化やビジネス創生、店舗展開を支援を主目的とする。ふるさと納税サイトも運営。 学生や地元の人たちとYamaguchiを盛り上げたい!~ボーカリストLinoが高校生などと三密に配慮した屋外ライブを開催し、CDを作成 178万円(158人支援) 車海老への情熱がとまらない! 一人の男が本気で車海老の養殖に立ち上がる! 109万円(65人支援)◇投資型 ※投資型の場合は、プロジェクトオーナーは法人に限られます。CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤーオーナーズ)株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITALが運営するクラウドファンディング。2019年9月11日より投資家登録受付開始。1万円から投資可能。投資家の口座開設および融資に関する手数料負担はなし。出金時の振込手数料は要負担。 【別府発 先端バイオ技術を用いた温泉微生物研究企業の新たな挑戦】アルコール除菌剤開発ファンド 1,032万円(72人投資)セキュリテ社会に価値を生み出すことをコンセプトにしたインパクト投資プラットフォーム。金銭的なリターンを得られる「ファンド」のほか、物やサービスを得られる購入型のプロジェクトや寄付型のクラウドファンディングも展開し、日本各地の地域の問題を支援する。ファンドの審査において、SDGsを評価軸の一つとして採用。運用にはファンドごとに手数料がかかる。出金時手数料も投資家負担。 デザインで輝く美しいものづくりファンド ~デザインを通じて社会での相互理解や共生を推進する力の発信を行う 400万円(107人投資) 南阿蘇村 みんなに優しいスープファンド ~南阿蘇村の無添加オーガニック野菜を復興のために活用し、農業再生も図ります!【半分寄付】 500万円(76人投資) RATTA RATTARRアートファンド ~人の「繋がり」から誕生したデザインブランドの拡大を目指します 1,020万円(65人出資)Sony Bank GATE(ソニーバンクゲート)ソニー銀行提携の「資産運用」×「共感・応援」がコンセプトの投資型クラウドファンディングサイト。2019年6月10日よりファンド申込み開始。口座開設・分配金受け取り(出金)手数料は不要。※運用手数料は記載なし ニットが紡ぐあたたかい社会の実現へ 循環型ものづくり応援ファンド 3,000万円(315人出資) TASUKEAI 0 PROJECT アパレル廃棄0を目指すshoichi応援ファンド 1,700万円(340人出資) 環境・地域・人にやさしい新食材 規格外野菜から生まれた野菜のシート(ベジート)ファンド 9,800万円(1,960人出資)■本当にクラウドファンディングが必要?いかがでしょう。まさにクラウドファンディングの世界は群雄割拠。それぞれのサイトが独自色を打ち出しながら、個人や中小企業の新たなチャレンジに資金を提供しています。この波に乗らない手はない!さっそく申し込んでみるか!!・・と前のめりになる前に、少し深呼吸を。◇高額な手数料に見合うメリットはあるか気づいた方も多いと思いますが、クラウドファンディングは集めた資金の10~20%を手数料としてサイトに払わなければいけません。助成金は全額収入になりますし、金融機関からの融資なら2%前後の金利ですみます。20%もの高い手数料を支払うからには、何らかのメリットが必要です。クラウドファンディングを皆さんの事業に活用すべきかどうか、今一度立ち止まって考えてみましょう。クラウドファンディングのメリットは「応援者を増やす」ことと「将来のユーザーを獲得する」ことにあります。商品開発や飲食店、宿泊施設などのBtoCビジネス(個人向けビジネス)であれば、大きなメリットが得られるでしょう。でも、あなたの事業がBtoBビジネス(法人向けビジネス)の場合、クラウドファンディングの恩恵を得ることはできないかもしれません。なぜなら、クラウドファンディングの資金の出し手はあくまでも「個人」なので、法人向けのサービス開発に個人から共感を得ることはとても難しいからです。「このプロジェクトを応援しても、自分個人の生活には何の影響もないな。」と感じるプロジェクトに身銭を切ってお金を出す人は、まずいないでしょう。もしBtoBビジネスでクラウドファンディングを活用しようとする場合は、①あなたの事業が個人の生活にどのように影響するのかを説明できるか考える②それが難しければ、助成金を検討する③助成金がない、または時期が合わない場合は、金利の低い公的金融機関(政策金融公庫など)を当たってみるの選択肢を考えてみてはいかがでしょう。◇マンパワーをかけることができるかまた、クラウドファンディングはとにかくマンパワーが必要、と言います。私の周りでクラウドファンディングに取り組んだ方は、数人でチームを作って役割分担を決め、SNSをフル活用したり友人・知人ネットワークを活用しまくることで、数百万円の目標金額を達成していました。クラウドファンディングのサイトには、本当に数多くのプロジェクトが同時並行的に公開されているなかで、金額を集められずに終了するものもたくさんあります。自分のプロジェクトが埋もれてしまわないように、PR面でも工夫が必要となります。写真撮影や文章作成などのクリエイティブも、結果に直結してくるようです。【個人のアーティストが、クラウドファンディングに初挑戦してみた阿鼻叫喚】https://comemo.nikkei.com/n/n7af24b93c61dクラウドファンディングに取り組む数か月間、覚悟を決めて取り組むことができるか。それが資金調達の成否の分け目とも言えます。■さいごにクラウドファンディングは万能の打ち出の小づちではなく、あくまでもたくさんある資金調達方法の一つです。準備から資金調達まで数か月かけ、多くのマンパワーを投じ、高い手数料を支払う意義があるかどうか、よく考えてチャレンジすべきではないでしょうか。流行っているから、なんとなく、、、で取り組み始めてしまうと、目標金額に到達しなくて一円も得られなかったのに自分の時間だけが奪われてしまった・・・なんて悲惨な結果は見たくないですよね。資金調達は起業のうえでとても重要な要素です。ぜひ、ご自身の事業にマッチした資金調達方法を考えてみてください。【参考 : 政策金融公庫から低利で融資を受ける】政策金融公庫は私も融資を受けたことがありますが、女性や若者がソーシャルビジネスを始める際には、かなりの低金利で融資をしてくれます。窓口に電話をしてお話を聞いてみてはいかがでしょうか。地方移住して起業する人向けのサポートもあるようなので、相談に行ってみるのもいいかもしれません。参考までに、リンクを貼っておきますね。日本政策金融公庫|日本公庫では、全国152支店のネットワークを活かし、地方へ移住して創業を目指すみなさまを幅広くサポートしています。日本公庫の支店は全国に152店舗。現在のお住まいや勤務先の最寄りの支店で、移住前から相談ができます。日本公庫 国民生活事業では、「新規開業資金」などのご融資を通じて、地方に移住して新たに事業を始める方のお手伝いをしております。www.jfc.go.jphttps://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/ijuusougyou/index.html