こんにちは。
今回は、体内の「誤報警報」であるアレルギーについてお話ししていきます。
アレルギー反応と二日酔い、そして日焼け後の炎症に共通点があることはご存知でしょうか?
実は、これら全てにはヒスタミンが深く関わっているのです。
特に興味深いのは、赤ワインを飲んだときに顔が赤くなったり、頭痛がしたりする人は、このヒスタミンに対する感受性が高い可能性があるということです。
一方で、ヒスタミンは私たちの朝の目覚めや食欲、記憶にも大きく関与しています。
それでは、体内のトラブルメーカーでもあると同時に、重要な調整役でもあるヒスタミンについて詳しく解説していきましょう。
そもそも、ヒスタミンとはどのような物質なのでしょうか?
ヒスタミンは、私たちの体の中で作られる生理活性アミンの一種で、生体アミンとも呼ばれる体内で自然に生成される物質のことです。
このヒスタミンは、ヒスチジンと言うアミノ酸から作り出されます。
ヒスチジン脱炭酸酵素と言う酵素が働いて、ヒスチジンを変換することでヒスタミンは生成されています。
では、ヒスタミンがどこで作られているかを見ていきましょう。
体内では、主に4つの場所で生成・貯蔵されています。
ひとつめがマスト細胞です。
マスト細胞は肥満細胞とも呼ばれ、皮膚・粘膜・血管の周りに存在しています。
ふたつめは好塩基球で、これは血液中の白血球の一種です。
みっつめは、脳内の神経細胞、特にヒスタミン作動性ニューロンと呼ばれる細胞です。
よっつめが、胃にあるECL細胞(エンテロクロマフィン様細胞)で、こちらは胃酸の分泌に関わっています。
また、ヒスタミンは食品中から摂取することも可能で、発酵食品であるチーズやワイン、漬物や味噌、醤油などに豊富に含まれています。
加えて、熟成させた魚類や加工肉、トマトやほうれん草、そしてアボガドなどの特定の野菜や果物にも多く含まれています。
ヒスタミンが持つ役割についても詳しく見ていきましょう。
ヒスタミンは、体内で4種類の受容体に結合することで様々な働きをします。
① H1受容体に結合すると。
皮膚の発赤や炎症などの血管拡張を引き起こし、アレルギー反応の引き金にもなります。
この働きは、かゆみや痛みの伝達にも関わり、目を覚ます覚醒作用もあります。
② H2受容体に結合した場合。
胃酸を分泌させたり、心拍数を増加させたりします。
さらに、免疫系の調節も行います。
③④ H3・H4受容体に結合した場合。
この時、ヒスタミンは神経伝達物質や免疫応答の調節を行い、炎症性疾患やアレルギー反応の強弱に影響を与えます。
このように、ヒスタミンは私たちが生きていくために、とても重要な役割を果たしている物質なのです。
それでは、体内で重要な役割を果たすこのヒスタミンが、どのように暴走してアレルギー反応を引き起こすのかを詳しく見ていきましょう。
アレルギー反応は、二段階のプロセスで起こっています。
まず、最初のステップが感作です。
花粉やダニ、食物などの特定のアレルゲンが体内に侵入すると、樹状細胞やマクロファージなどの抗原提示細胞がアレルゲンを補足します。
これらの細胞は、アレルゲンの情報をT細胞に伝達します。
すると、T細胞が活性化してB細胞に指令が送られ、IGE抗体、つまり免疫グロブリンE抗体を産生します。
産生されたIGE抗体は、マスト細胞や好塩基球の表面に結合します。
このプロセスは、「免疫学的記憶」を形成するだけなので体が次回に備えている状態になるため、通常であれば何も症状は現れません。
次に、感作のステップを完了した後に、アレルゲンとの再接触によって起こる第二のステップである即時型アレルギー反応について説明します。
同じアレルゲンに再び接触すると、アレルゲンがマスト細胞や好塩基球の表面に結合したIGE抗体と結合します。
これにより、マスト細胞が活性化されるこの過程は架橋(かきょう)形成と呼ばれています。
マスト細胞が活性化されると、細胞内の顆粒からヒスタミンが放出されます。
これを脱顆粒と言います。
同時に、ロイコトリエンやプロスタグランジン、サイトカインなども放出されます。
このプロセスは非常に早く起こり、アレルゲンに接触してから、数分以内に症状が現れることもあります。
では、放出されたヒスタミンが体にどのような影響を引き起こすのかも見ていきましょう。
血管に作用すると、血管拡張と透過性の亢進が起こります。
これにより皮膚の発赤やむくみ、じんましんなどが現れることになります。
気管支では、平滑筋の収縮が起こります。
その結果、気管支狭窄や喘鳴、呼吸困難が生じます。
鼻粘膜では、分泌の亢進や血管拡張が起こり、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状が現れます。
結膜でも分泌の亢進と血管拡張が起こり、目の充血、かゆみ、涙目などが生じます。
皮膚では神経末端が刺激されて、強いかゆみや発疹を引き起こします。
消化管では、平滑筋の収縮と分泌の亢進によって、腹痛や下痢、嘔吐が起こることがあります。
このように、みなさんがよく知るアレルギー反応は、ヒスタミンの作用に起因しているのです。
最後に、ロイコトリエンの役割についてお話しします。
アレルギー症状の原因は、ヒスタミンだけではありません。
マスト細胞から放出されるロイコトリエンも、重要な原因の一つになりえます。
ロイコトリエンは、アラキドン酸が5-リポキシゲナーゼという酵素の影響を受けて生成され、気管支平滑筋の強力な収縮を引き起こします。
この作用は、ヒスタミンの約1000倍の作用と言われています。
また、血管透過性を亢進させて浮腫を形成します。
さらに、免疫分泌を促進して好酸球を誘引し、慢性炎症の一因にもなります。
特に、気管支喘息や慢性的な鼻づまりには、このロイコトリエンが重要な役割を果たしています。
そのため、アレルギー治療には抗ヒスタミン薬だけではなく、抗ロイコトリエン薬も同時に使用されているようです。
ここまで見てきた通りであれば、ヒスタミンは良くないものという印象を持たれたかもしれません。
実際に、ヒスタミンはアレルギー症状の原因ではありますが、私たちの生命維持に欠かせない多機能な調整役であるという側面も持ち合わせます。
適切に分泌、分解されていれば問題はなく健康を維持することができます。
逆に、生来の感受性の高さや分解能力が低下すると、アレルギーや頭痛、二日酔いといった不調が現れることになります。
ヒスタミンを正しく理解し、うまくコントロールしていくこと、それが日々の健康を守る確かな一歩になっていくのです。
最後まで読んで頂きありがとうございます。