初回は東京オリンピック開会式の音楽担当発表から僅か数日で辞任に追い込まれた小山田圭吾の話。
国を巻き込んで大騒ぎになったけど、自分も含めて多くの人がとっくに忘れ去っていることでしょう。
少し復習しておきます。
小山田圭吾はコロナで１年延期された東京オリンピックの開会式音楽担当に任命されたことが、開会僅か9日前の2021年7月14日に発表されました。しかし、翌日には過去に雑誌に小・中学時代に壮絶ないじめをしていたというインタビュー記事が掲載されていたことが報道されました。そしてネットで大炎上し、7/19には辞任発表となりました。その後も批判は収まらず、TV番組やライブなど全ての仕事を失ってしまいました。
ネットでこの雑誌記事についての匿名の投稿がきっかけとなったようです。
この騒動に違和感を抱いた著者が小山田圭吾の知人に取材をしたところ、誰も小山田圭吾の悪口を言わないことから疑問を深め、徹底的に取材をしたそうです。
詳細は本を読んで頂きたいと思いますが、結局小山田圭吾が見聞きしただけの話もごちゃ混ぜに面白おかしく、主語も曖昧にして記事にした、タイトルも読み手を惹きつけるためにセンセーショナルなものにした、ということで、当時としてはよくあることだったようです。（記事には実際にやったことも含まれていたようですが、それは当時の小中学生男子なら多少は覚えのある悪ふざけで、そこは本人も素直に認めて謝罪していました。）
当時はネット記事も無かったのですが、誰かがこれをネットに掲載・批判し、それが次々に倍増して、まさにインフォデミックとなりました。小山田圭吾のところには毎日のように無言電話や批判電話、メールが殺到、果ては殺害予告まで来ていたとのこと。僅か数日で心身ともに衰弱して危険な状態だったそうです。
このような炎上事件は近年更に頻発している気がするのですが、気のせいでしょうか。
自分は何も被害を受けていないのに、ただの鬱憤晴らし。物理的に殴ってないけど、本質的にはリンチと変わらない。
爆笑問題の太田光のこの件についてのラジオ番組での発言が掲載されていましたので一部を引用します。
『今の日本のマスコミ全体に聞きたいのは、調べ直したのか？ってことなんですよ。
裏を取るって、そういうことをやるわけでしょ？
それをやらずにあの証言だけを頼りにひとりの人間を再起不能に陥るまで、叩き続けることが、俺には躊躇があるんですよ。
そういうことが事実だったとして、あの残虐性と今、小山田圭吾が受けていること、どっちが残酷かっていうのは、俺には判断できないんです。』
その話は本当なのか、AIも発達して判断が難しくなってきていますが、安易に情報に踊らされないように気をつけたいものです。