『医薬品の会社に勤める事になってこの春で満20年を迎える事になります私でございます。

・・・結構な年齢になっているのですね、私。まだまだ気持だけは若いつもりでいたのですが、改めてそう考えると、気持が一気に老け込んでしまうような錯覚に(苦笑)

入社してから暫くの間、医薬品の処方設計や治験薬の製造とか工業化といった業務に就いておりました。現在でもいくつか手掛けた医薬品、上市されております。

その後は製造現場の責任者や品質管理部門,物流部門を歴任し・・・現在は工場や支援設備のサポート部隊の副隊長をやっております。

医薬品の研究開発というのは気の遠くなる期間、膨大な費用を投じて行われております。世界でも有数の大手医薬品メーカーでも数十年の期間に数兆円の費用を投じて、医薬品として使える物質のスクリーニングから始まり基礎研究,安全性の探求,製剤化,臨床試験を経て当局の承認許可を得て初めて上市されています。国内最大手の企業でも年間数千億円の費用を毎年投じているのが現状です。それでも何百何千もの候補物質からピックアップされるのはほんの僅かの物質に限られます。それだけでもホンマ気が遠くなってくる業務です・・・。

ここ数年よく耳にするようになってきた“ジェネリック医薬品”。これは先発医薬品(俗に言う新薬です)の有効成分を、各社が製剤的にアレンジして承認許可を取っている医薬品です。

厚生労働省の方もジェネリック医薬品のシェアを増やそうと躍起になっております。

先発医薬品の有効成分を利用するという事で、研究開発費用が抑えることが出来るのと上市された際の薬価が低く抑えられるので、ジェネリック医薬品メーカーや実際の患者さんにとってはメリットもあります。どちらを選ぶかは処方するドクターの裁量なんですが。

ただ開発費用が抑制できる・・・と言いましても、製剤化するにはそれなりの労力は必要になります。先発医薬品との“同等性”というのが必須でして、物性や薬効発現程度が統計学的に同等であると判断されない限りは決して承認許可は取れないということになります。先発医薬品より『効きすぎる』のもダメですし『効かない』のも論外です。またその部分には“特許”という壁も立ちはだかりますので、一般的に言われているイメージとは違って、ジェネリック医薬品を上市するというのも大変な作業が必要なのです。その点は皆様のご理解を得たいと思っておりますが()

ココ最近想うのですが・・・

“クルマ”という製品も、新型がアンベールされた時点から次期製品に向けた研究開発がスタートします。ありとあらゆる製品と同じく休んでいる期間はありません。でないと、研究開発スタッフのお仕事、無くなってしまいますからね()

医薬品のような長い期間ではないものの概ね5年~9年ほどかけて、次期製品に向けた研究開発が行われ、数千億円,数億,数億$もの巨額の費用が投じられます。ここ最近では安全性への対応,地球環境への配慮・・・も要求されてきますので、昔の研究開発とは桁違いの巨費が動いております。

前述で“ジェネリック医薬品”の事について少々書かせていただきましたが、この部分が“クルマ”という製品に置き換えると“チューンナップ”の部分に相当するのかなと。それがメーカーが行う部分とアフターパーツメーカーが行うか・・・という違いはあろうかと思いますが。

ソレをわれわれユーザー側がどのように解釈し判断するのか・・・そこが一番重要な部分かと勝手に私、想っているところなのです。

メーカーが時間巨費を投じて開発した製品。悪いはずが無いのです。良い製品なのです!!!

医薬品においても、副作用報告や健康被害報告が決して“ゼロ”にならないのと一緒で、“クルマ”という製品は特定のユーザー向けに造られるのでなく“万人”に向けて製作されますから。だから、オーナーとなったユーザー様の感性に合う“チューン”が存在するのではと思うのです。私は決してそれを否定しているわけではありませんので、その点はご了解を。以前の投稿で脚周りとクツの履きかえ、宣言していましたしね()

ただ気をつけないといけないのが、製品の生まれもって持っている性能効果を邪魔する,妨害するような“改悪”は絶対にやってはいけないという事。触るのであれば空力上意味のあるものをインストールする,メカニカルな部分に負担を強いないものをチョイスする事,安増しという意味合いで重要保安部品のグレードアップを図るそして一番大事なのがコンプライアンス(法令遵守)等々・・・。

どういった形でも良いので、視覚的なインプレッションや操縦安定性に関するインプレッション,メカニカル的にこんな感じになりましたよ~!という感想やフィーリング,ちょっとこれは使えないかな~といった感想もありでしょう。それこそこのSNSの醍醐味なんじゃないかと。何かしらを触るのであれば・・・。

それ以外の部分はネット上の、文字通りの“日記”というもので全然構わないと思います。

自分の好きなものを披露したり、一日の出来事を報告したり、悩んでいることを打ち明けてみたり、昔のクルマの思い出話,美味しいものの教え合いなんかって感じで、ワイワイガヤガヤお話すればいいですよね!

『これ!付けたんだぞ!!! どうだ!!! 凄いでしょ!!! 誰もやっていないんだぜ~!!! 良いって聞いたからやっちゃった!!!』・・・もっとクルマという製品の事、パーツ・部品の事、勉強してくださいね・・・。

製造メーカー,部品メーカーが威信をかけて開発した、とても素晴らしい製品なんですから。そしてオーナーさんの大事な大事なパートナーなんですから。ちゃんと褒めてあげましょう!!!愛車の事を。労わってあげましょうよ!!!せっかくのパートナーなんですから、オーナーさんそれぞれの感性に見合うお触りしましょうよ!!!じゃないと、クルマもパーツ・部品も可哀想じゃないですか!!!』


・・・ってな感じですあせる

自慢し合っても・・・虚しいだけのような気がしてならないのですが、世の中がこんな感じじゃ、私一人が騒いだところでどうにもならない話ですねガーン