「…ぅ…ん……」

なんだか寒いな…。

そう感じて隣にあるはずのぬくもりを探す。



じゅん……、

どこ?



脳裏に君の名が浮かんでハッと意識が覚醒する。

「…潤っ!おぉ、さっぶ!」

起き上がったら肩まで掛かっていた毛布がずり落ちた。
ひんやりとした朝の空気が俺の肩を冷やす。
あまりの寒さに毛布をもう一度身体に巻き付けた。



そういや…

「潤は?」

昨夜この手に抱きしめた潤がいない。




~♪

奥のキッチンから聴こえるWISHの音色に慌ててその主を探す。

「潤!」

「…まあく…ん?」

こちらに視線が向くと同時に背後から抱きしめた。


「あぁ…よかった…。」

「なにが?」

「だって、いないから心配して…」

「どうして?ここ、僕の家だよ?」

「…それもそっか。」

「……まあくん。」

「ん?」

「おはよう。」

「おはよ、潤…。」

自然と近づき、軽く触れた唇。



「身体、大丈夫?」

「カラダ?」

「え…、まさか…」

嘘!昨日の夜のこと忘れちゃったとか!?
見た目ではわからない潤の記憶障害。
いつ、どこで、どこまでのことを覚えているかは潤の記憶次第。


忘れられてたら、俺…ショック!!


俺の引きつった顔に何かを悟った潤がその表情を和らげようと手のひらを頬に当てる。

「あんなまあくん、忘れるわけないよ…。」

少し赤らめた可憐な顔で微笑む。


「ごめん、俺がっついちゃったから。」

「動けるし、平気…。
朝ごはん作ったの。食べる?」

「昨日のシチューもね。」
 
「朝からそんなに食べるの?」

「食べ損ねちゃったから。」

「それは、まあくんのせいだよ?」

「潤があんな事するからだろ。」

「あんな事?」

「こんなこと…」

潤の下唇をペロリと舐めた。
艶やかで弾力のある唇は今見ても欲情してしまう。



「ま、まあくん、着替えといでよ!
風邪引く…。」

「潤があっためて…。」

ヤバい。
途中からワケわかんなくなって、何度達したのか記憶がないのは俺の方。
だけど潤に触れれば、すぐにあの熱を思い出す。


「まあくん…、あのね、話したいことが…」

「後で聞く。」

「…や、…ぁん」

耳に息を吹きかければ甘く鳴く。


「潤…、俺と付き合って。
俺、潤が、欲しい…。」

「あっ、だから、話を…」

返事を言えない状況を作ってるのはわかってる。

力の入らない潤を攻め立てる…



RRR…RRR…

不意に鳴る俺の携帯電話に思わず潤と目を合わせた。

こんな時に!

「音、してるよ?」

「もー…」

仕方なくケータイを手に取ると、そこに表示された名前にまたドキリとした。


「…ハイ。」

「相葉くん!?」

「松潤…。」

目の前でこちらを伺い見る潤と耳に心地よく響く松潤の声。

「よかったぁ、電話出て。
マネージャーが相葉くんに電話してるのに出ないから、居場所知らないかって俺のとこに。
昨日二人で飲みに行くって話した?
家じゃないの?どこにいるの?」

「それは…」


恋人…?

好きな人…?

松潤にそっくりで俺が名付けた潤という子の家にいるとでも言えばいいのか?

「無事ならいいんだ。
心配したよ…、相葉くんに何かあったらどうしようって…」

優しい声に心が揺れる。

潤がそばいるのに意識は電話の向こう側の松潤にもってかれてる。


そんな俺を潤が哀しげに見つめていたなんて、気づくはずもなかった。