今更どうすればいいかと考えたって、起こしてしまった現実を変えることはもうできない。


言うことを聞かない潤を征服したかった。

俺の知らないとこで勝手に酔っ払ったりすんな。
俺の知らないお前を他のやつに晒すな。
俺の知らないうちに大人になるな。

俺は、お前を………




シラフなのに酔ってるみたいに頭ん中がぐるぐるしちゃって身動きがとれない。

俺の下敷きになっている潤も黙ったまんま、
ただ俺を見つめてる。


長い沈黙はもう時間の流れすら消してしまったみたいだ。




「…ごめん。」

結局その状況に耐えきれず先に言葉を発したのは俺。
思いをひとつも伝えられず、潤から離れようとした。



……え?


反対にグッと掴まれた腕。

潤はさっきよりももっと潤んだ瞳で俺の目を見つめてる。


何が言いたい?
何を訴えてる?

そんな熱っぽい目で俺を見るなよ。



「…あ、ごめ……」

今度は潤から謝って顔を逸らすから、逸らした顎を引っ掴んで強引にこちらを向かす。


「しょ…っ、」

そして、なんの許可もないまま…
俺は気づけばその唇に自身の唇を重ねてしまっていた。
それはもう必然だったかのように。

今の今までどうしてコイツを野放しにしてきてしまったのだろう。


だって、きっと、ずっと……

潤が好きだったんだ。





薄く目を開けば、至近距離で目が合う。


あ、ら?俺、なにして………

「…っ、悪ぃっ!」


我に返って今度こそ身を離した。



「え、と…、これは、その……」

やべぇ。
なんの言い訳も思いつかん。

俺の気持ちはどうあれいきなりキスするなんて。
男からキスだなんて、いくら昔から知るメンバーだからって…、メンバーだから余計にマズイだろ。
いや、気まずくなるだろ!
そんな言葉の言い回しなんてこの際どうでもいい。

ヤバイヤバイ、ヤバいだろーー!



さっきの潤じゃないけど、パニックになると頭に血が回らなくてクラクラしてくる…………

ボスンっ…


「ちょっと!しょおくん!!大丈夫!?」

情けないことにチカラの抜けてしまった俺は起き上がった拍子にそのままベッドに仰向けにひっくり返った。
それを見下ろすように潤が心配そうな顔で俺の頬に手を添える。


すごくあったかくて、優しく触れてくるから、
俺はまた性懲りも無くその手を握った。