翔side
「おつかれさまー。」
そう言ってこちらに目を向けることもしない君の背中を見送る。
今日は真っ直ぐ帰るのか?
それとも、また今日も飲みに行くのか?
ひとり?誰と?
そんな言葉を掛けられるはずもなく、その言葉と共にゴクリと息を呑む。
「松潤、元気だな。もう何日連続?」
閉まる楽屋のドアを見つめていると、何気に呟かれた智くんの声に俺は振り返る。
智くん?
「昨日は私、付き合わされましたよ。」
え?ニノ?
「えー、一昨日俺行ったよー。
なかなか帰してくんなかった。
昨日はあっさりコース?」
相葉くんまで?
「察しなさいよ。
寂しがり屋のあの人が簡単に離すと思います?
なんとか理由つけて帰りましたよ。
明日も早いから程々にしないとねって。」
「さすがニノ。」
ニノと相葉くんの会話は続く。
けど、気になるのはそこじゃなくて…
「オイラは一昨日のその前の……
ありゃ?いつだ?
とにかくこないだ行ったばっかりだぞ。
なのに今日どう?て言うからさぁ。」
追い打ちをかける智くんの言葉。
代わる代わる飲む相手を探しては、夜な夜な飲み歩いてんのか?
それも気になるっちゃ気になるとこだけど…
てか、
「俺、誘われねぇんだけど…。」
思わず漏れてしまった心の声。
誰に言う訳でもない
自分に問いかけたのだ。
「ほら、翔くんは忙しいから。」
「そうそう!毎週生放送があるのに取材やらロケやら、スケジュールびっちりだもんね!」
そう。
メンバーの中でも『櫻井翔は忙しい』が共通認識になってしまっている。
忙しいことには変わりない。
仕事があることは嫌じゃない。
むしろありがたいことだし、オファーがあればできるだけ受けたいとは思う。
「でも、別に、飲みに行けないほどじゃねぇし…。」
実際兄貴会に呼ばれれば顔も出すし、この業界じゃないツレとだって飲みにも行っている。
だから潤とだって行けないわけじゃないのに。
「あの人、空気読まないようでどれだけ翔さんへのアンテナ張ってんでしょうね。
忙しい翔さんを気遣ってんですよ。」
ニノがやれやれと言ったように息を吐く。
「さて、我々も今日は帰りましょ。
次は誰が誘われるかな。」
そして、ニヤリと笑う。
俺の反応を見て楽しむかのように。
一時を境に潤とふたりで飲むなんてなくなってしまった。
いつからだったろうか。
俺がキャスターをしだして、嵐として軌道に乗り始めた頃か…。
あの頃からふたりで会う機会はめっきりと減り、どことなく潤は俺に遠慮がちになっている気がしてならない。
『翔くん、忙しい所ごめんね。
ちょっといい?』
コンの打ち合わせでさえ、いつも俺への第一声も謝罪からになっていった。
忙しいのはお前もだろ。
なんならコンに至ってはお前の方がやること半端ないくらいあんだろ。
そんな遠慮、いらないのに。
アイツが飲みながらケラケラと笑い、くだらねぇ〜と笑い合ってたあの時間が遠い昔のようだ。
それでも目を閉じればすぐそばでその笑い声と笑顔が昨日のように思い出される。
目を開ければ、誰もいないガランとした楽屋。
白い壁が殺風景でこの部屋の温度を体感1℃下げる。
ぽっかりと空いた心に隙間風。
なんだ…。
潤が足りないのは俺の方じゃんか。
お前はそうじゃねぇの?
俺との時間はもういらなくなっちゃった?
そしてまた君の出ていった扉を眺めた。
つづく
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
翔くん!お誕生日おめでとうヽ(*´∀`)ノ
「復活はあります。」
翔くんの言葉。
その言葉があったから、この一年楽しんでこれました。
オトノハでもたくさんの言葉をくれたけど、あの言葉があったからこそ、楽しもうって思えました。
なによりも、
今後も潤くんとお幸せに❤💜←結局コレ