翔side



「なんだよ、練習メニューの変更でもあった?」

部活が終わって片付けも終わる頃、マネージャーに部室に連れてこられた。

よくあること。
一応二年生の中で俺は副部長としての立ち位置だ。

マネージャーも小学校からの付き合いで気心の知れたやつで、いわば男友達のようなものだ。
二人きりになっても何の意識もない。



「はい、コレ。」

赤い包みにリボンのかかった箱。

今日はバレンタイン。
チョコであることは一目瞭然だ。

「えーと、コレとは?」
でも一応聞く…。

「言っとくけど、私からじゃないからね!」

「はい?」

「頼まれたのよ、クラスの子に。
なんかさ、翔の事が気になるみたいなの。
私、こういうの苦手だから断ったんだけど、どうしてもって言うからさ…、一応預かってはきた。
だから、コレ。」

あ、そういうこと。


でも、俺には…

「悪いけど受け取れない。
俺、好きなやついるんだ。
そいつを裏切りたくないからさ。」

「へぇー…」

マネは一瞬間を置くと、俺の目の前にぐっと近づいて、覗きこんできた。


「おいっ!ちけーよ!」

思わず後ずさる。
ビビるじゃねーか!


「嘘はついてないみたいね。
翔は昔から嘘つくと目が泳ぐからすぐわかるもん。
おっけ、コレは返しとくよ。」

「…いいのか?」

「もちろん。
受け取るかわかんないよーって言っといたし。
それに好きじゃない人に貰っても困るでしょ。」

「あぁ、悪いな。」

「引き止めちゃって悪かったね。
あ、そういえば…ご近所の潤ちゃんだっけ?
さっき見かけたけど、翔を待ってんじゃない?
翔も隅に置けないね。じゃあね!」

最後の言い方は少し引っかかるけど…


潤が待ってる?
この寒い中、なんで?
いつも先に帰ってるはずなのに。

「それを早く言えよ!」


俺は部室を飛び出して、もう人もまばらな校内を探す。

駐輪場を探すと潤の自転車はなかった。


帰ったのか…?


そっか、帰ったんだ…。

俺も帰ろ。

一緒に帰りたかったな…。




暗くなり始めた夕方の空は寒さゆえに澄み切って、冷たい風が一層冷たく感じた。






☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..

あぁ…潤くんの勘違い( ;∀;)

しょおくんのチョコレートの運命は!?










クリアファイル、無事ゲットー!d('∀'*)