翔side
俺の誕生日が過ぎて2月になり、もうすぐバレンタインデーかなんて、そんなの去年の俺は気に掛けてもいなかった。
だって貰えるのは母さんとクラス全員に配る友チョコくらいで。
背の低かった俺はサッカー部に居たってまるでモテ要素がなかった。
そんな行事があるといっても、冬の真っ只中。
バレンタインが近いと浮き足立っていても、クラスの中ではバタバタと風邪やインフルエンザで病人は急増している。
冬の朝練は寒い。
でもチャリに乗るかと、ペダルに足をかけた瞬間…
「翔くん!」
こんなに朝早いのに潤のお母さんだ。
「おはようございます。どうしたんですか?」
「ごめんね、潤が熱を出しちゃって…欠席届、先生に渡してもらえる?」
「潤が熱?大丈夫なんですか?」
「そんなに高くはないんだけど…。
私も急には仕事休めなくて。」
「じ、じゃあ、俺学校終ったら様子見に行きます!」
「ホントに?
翔くんに来てもらえたら助かるわ!
あ、でも風邪移したりしたら大変だし、やっぱり…」
「俺、風邪ひきませんから!大丈夫ですから!」
「うーん。じゃあ、様子見だけお願いできるかしら?」
「任せてください!」
「潤には翔くんが来ること伝えとくわね。」
潤の母さんが帰ると、俺も一度家の中へ。
「母さん!!」
「なに?行ったんじゃなかったの?」
「あのさ!熱出した時、どうすればいいのかな!?
潤が熱出したみたいで。」
「潤ちゃん、風邪かしら?
そうねぇ。熱の高さにもよるけど、水分補給と食べれるようなら少しでもお腹に入れた方が…体力落ちると治りも遅くなるし。」
「何がいいかな…?」
「無難におかゆがいいんじゃないかしら?」
「おかゆ?どうやるとできんの?」
「お鍋にご飯と水を入れて煮ると柔らかくなるでしょ?消化もいいし…」
「おかゆね!わかった!サンキュ!
じゃ、行ってくるわ。」
「……ってまさか翔が作る気じゃ無いでしょうね!
おかゆって言っても案外手間がかかっ…
ちょっと!聞いてるのー?」
母さんの説明は長すぎる。
朝練だって始まっちゃうから時間もない。
おかゆくらい煮るだけなら誰でもできんだろ。
俺が潤の為にしてあげれることも増やせるし、潤にも会えるし一石二鳥じゃん!
早く放課後になんねーかなー。
風邪引いた時は心細いんだよな。
寂しがり屋の潤のことだ。
家に一人なんて絶対寂しいに決まってる。
早く潤の元へ駆けつけてあげたくて、朝練の間もも潤のことで頭の中はいっぱいだった。
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秋空、いい所なんですが諸事情のためこちらを先に差し込ませてもらいました。
すぐ終わるのでお付き合いくださると嬉しいです。